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※木村情報技術株式会社のサービスを利用して行います。
開催日時 | 2025年2月1日(土)13:30~18:40 ※オンデマンド配信はありません |
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開催形式 | 現地開催(同時ライブ配信なし) |
会場 | 丸ビルホール 丸ビル7階(東京都千代田区丸の内2-4-1)※開場 13:00 |
後援 | 株式会社医学生物学研究所 |
入場 | 無料 |
お問い合わせ | koutaisympo@mbl.co.jp |
渥美 達也(北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室)
桑名 正隆(日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野)
藤本 学(大阪大学大学院医学系研究科 皮膚科学教室)
藤本 学(大阪大学大学院医学系研究科 皮膚科学教室)
(13:35 - 13:45)Development, validation and clinical evidence of QUANTA Lite HMGCR ELISA for the diagnosis of necrotizing autoimmune myopathies
Werfen
桑名 正隆
(日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野)
角田 洋一
(東北大学大学院医学系研究科 消化器病態学分野)
渥美 達也
(北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室)
坪井 洋人
(筑波大学 医学医療系 膠原病リウマチアレルギー内科学)
藤本 学
(大阪大学大学院医学系研究科 皮膚科学教室)
山口 由衣
(横浜市立大学大学院医学研究科 環境免疫病態皮膚科学)
桑名 正隆
(日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野)
Lisa Christopher-Stine
(Division of Rheumatology,
Johns Hopkins University School of Medicine)
渥美 達也 (北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室)
(17:20 - 18:40)世話人、演者の先生を囲んだ立食形式の懇親会です。出入り自由ですのでお気軽にご参加ください。
NUDT15遺伝子多型検査は、チオプリン製剤による重篤な白血球減少や全脱毛の副作用を発症する患者を事前に見分けるための検査として、2019年2月に世界に先駆けて本邦で実用化された。欧米では、チオプリンの代謝酵素TPMTの遺伝子多型と副作用との関連が報告されていたが、日本人を含む東アジア人では、TPMT多型の頻度が比較的稀であり、副作用との関連も認められなかった。NUDT15もチオプリンの代謝酵素の一つであり、この遺伝子検査で確認するArg139Cys多型は欧米人では極めてまれな一方で日本人に多く見られ、その酵素活性に大きく影響を及ぼす。その結果、日本人ではチオプリンへの感受性が個々人で大きく異なり、リスクホモ型(Cys/Cys)では重篤な副作用が発生する。一方で、ヘテロ型(Arg/Cys)や野生型(Arg/Arg)でのリスクや至適用量については明確なエビデンスが不足していた。
NUDT15遺伝子多型検査の実用化後、日本では以下の3つの大規模な臨床研究が進められ、リアルワールドデータに基づくエビデンスが得られつつある。1つ目の研究は、NUDT15遺伝子検査が診療においてどの程度実施されたかを示すもので、新規チオプリン治療開始前の遺伝子検査率や、検査の有無による治療継続率を検討した大規模レセプト研究である。この研究により、検査の有用性が確認されたが、疾患領域ごとの検査導入率の違いやタイミングに関する課題も明らかになった。一方で、レセプト研究では検査結果を得ることができないため、実際の遺伝子型に基づいた医療行為への影響は不明である。
2つ目の研究では、レセプト研究の問題点を解決するため、全国多施設共同研究として、炎症性腸疾患に注目し詳細なデータを集めることでNUDT15遺伝子多型検査結果に基づくチオプリン処方の判断や用量設定、副作用の発生状況を解析した。この研究により、遺伝子検査の目的やタイミング、遺伝子型別の至適開始量と維持量、副作用のリスク因子が詳細に明らかとなった。
3つ目の研究は、チオプリンが妊婦に使用された場合の胎児のNUDT15遺伝子型による影響を見る検討である。母体と胎児のNUDT15遺伝子型は同一とは限らないため、この遺伝子型の違いが胎児に与える影響を検討している。マウスモデルでの研究では、母体よりも代謝活性の低い子マウスが生まれないことが確認されており、ヒトにおいても同様のことが起きていないか、流産や奇形などに影響がないか検討された。多数例でのエビデンスが蓄積され、現在その結果がまとまりつつある。
本講演では、NUDT15遺伝子検査が実用化された日本におけるリアルワールドデータを上記3つの研究結果を中心に紹介する。
抗SS-A(Ro)抗体は、シェーグレン症候群(SS)で高頻度に検出される自己抗体で、最新の分類基準であるACR-EULARの一次性SS分類基準(2016年)でも採用されている。一方で、抗SS-A抗体は、SSにおける特異性は低く、関節リウマチ(RA)、特発性炎症性筋疾患(IIM)、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症、混合性結合組織病等他の自己免疫疾患でも検出される。抗SS-A(Ro)抗体の対応抗原は、Ro52とRo60の2つがあり、そのうちRo52はTripartite motif 21(TRIM21)とも呼ばれ、自然免疫応答やB細胞分化の制御に関わることが近年明らかにされた。本講演では、1)抗Ro52抗体の病態的機能、また2)SS、3)RA、4)IIMにおける抗Ro52抗体の存在と臨床像との関連について、我々の知見も含めて議論したい。
1)Ro52(TRIM21)は、タンパクとRNAの複合体を形成し、細胞増殖抑制やアポトーシスに関与する。近年では、Ro52は細胞内Fc受容体として機能し、NFκBやIRF3を介した自然免疫シグナルの誘導と、オートファジーによる活性化IRF3ダイマーの分解を介した自然免疫応答に対するネガティブフィードバックの両方の役割を果たすことが明らかにされた。またB細胞に対しては、Ro52はIRF5のユビキチン化を介して、形質細胞の分化を抑制する。興味深いことに、抗Ro52抗体陽性SLE患者では、陰性SLE患者と比較して、TRIM21の発現低下、I型インターフェロン(IFN)の産生亢進、resting B細胞からplasmablastへの分化亢進、B細胞の活性化亢進が示されている。
2)SSでは、抗SS-A抗体は33-74%で検出され、抗Ro52抗体単独陽性は2.6%、抗Ro60抗体単独陽性は24.3%、両方陽性は58.3%、両方陰性は14.8%と報告されている。SSにおいて、抗Ro52抗体陽性例は、抗Ro60抗体単独陽性例と比較して、腺病変が重度であると報告されている。
3)RAでは、抗SS-A抗体は3-15%で検出され、抗Ro52抗体単独陽性は3.2%、抗Ro52、Ro60抗体両方陰性は96.8%と報告されている。我々は、生物学的製剤を初めて導入したRAの検討で、抗SS-A抗体陽性例は陰性例と比較して、TNF阻害薬(インフリキシマブ)に対する治療反応性は不良だが、トシリズマブ、アバタセプトに対する治療反応性は2群間で同等であることを明らかにした。抗SS-A抗体陽性RAのインフリキシマブに対する治療抵抗性には、ヒト抗キメラ抗体(HACA)の産生、抗核抗体の陽転化に加えて、抗Ro52抗体で誘導されるIFNシグナルの亢進が関与する可能性が示唆された。
4)我々はIIMの55%で抗Ro52抗体が検出され、抗Ro52抗体陽性例は他の自己抗体の重複陽性が多いことを明らかにした。また抗Ro52抗体陽性例は陰性例と比較して、間質性肺疾患、グルココルチコイド抵抗性の心筋障害、免疫抑制薬の併用が有意に多く、CRPが有意に高かった。
特発性炎症性筋疾患(Idiopathic inflammatory myopathies,IIMs)は、骨格筋の炎症に伴う筋力低下、筋肉痛を主訴とする疾患群であり、特徴的な臨床症状や筋病理所見から皮膚筋炎(Dermatomyositis, DM)、多発性筋炎(Polymyositis,PM)、抗合成酵素症候群(Anti-synthetase syndrome,ASS)、封入体筋炎(Inclusion body myositis,IBM)、免疫介在性壊死性筋症(Immune-mediated necrotizing myopathy,IMNM)に分類されている。DMを代表として、成人発症のIIMsは悪性腫瘍との関連が指摘されており、従来、悪性腫瘍関連筋炎(Cancer-associated myositis, CAM)として認識されてきた。特に、成人IIMsの発症前後3年以内が、悪性腫瘍リスクに関連すると報告されており、IIMs診療において、悪性腫瘍の発見は、診断、治療選択、予後に大きく影響する。そのため、悪性腫瘍リスクの高いIIMsの層別化、悪性腫瘍スクリーニングの方法に関するエビデンス構築が課題となっていた。
近年、IIMsの国際的な学際的研究グループであるThe International Myositis Assessment and Clinical Studies (IMACS) Groupが主導となり、悪性腫瘍合併リスク因子に関するメタ解析をもとにした成人IIMsの悪性腫瘍スクリーニングのガイドラインが発表された。本ガイドラインでは、悪性腫瘍リスクの層別化だけではなく、そのスクリーニング方法や頻度などにも焦点が当てられ、18のリコメンデーションが提唱された。成人発症IIMs患者の潜在的悪性腫瘍リスクは、筋炎のサブタイプ、自己抗体、臨床的特徴で層別化することができ、そのため、筋炎特異的もしくは筋炎関連自己抗体の測定は強く推奨される。高リスク因子は、皮膚筋炎、抗TIF1γ抗体や抗NXP2抗体、IIMs発症時の年齢が40歳以上、免疫抑制療法下でも高疾患活動性が持続(再発を含む)すること、中等度以上の嚥下障害、皮膚壊死や潰瘍形成の存在とされた。一方、低リスク因子は、抗合成酵素症候群であること、CTD関連筋炎、抗SRP抗体、抗ARS抗体、その他の筋炎関連抗体、レイノー現象、炎症性関節症、間質性肺疾患の存在である。本講演では、IIMsの悪性腫瘍スクリーニングについて、エビデンスをあげながらガイドラインを概説する。
The discovery of anti-HMGCR (3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA reductase) autoantibodies in the early 2000s marked a pivotal moment in understanding a subset of immune-mediated necrotizing myopathies (IMNM). Initially observed in patients with statin exposure who developed progressive muscle weakness, the presence of these autoantibodies has since become a critical diagnostic tool, distinguishing statin-associated autoimmune myopathy from more common forms of statin intolerance. Over the past 15 years, ongoing research has revealed that anti-HMGCR autoantibodies are present in patients with and without statin exposure, indicating a broader clinical spectrum.
This presentation will explore the history and discovery of anti-HMGCR autoantibodies, focusing on their role in understanding and managing IMNM. Patients with anti-HMGCR antibodies often present with severe muscle weakness, elevated creatine kinase (CK) levels, and myofiber necrosis, with only mild inflammation seen on muscle biopsy. Statin use remains a key risk factor, with up to 63% of affected patients reporting prior statin exposure, although younger, statin-naïve individuals may also develop this condition, often with more severe symptoms.
The pathogenicity of these autoantibodies is supported by clinical and histologic evidence. Anti-HMGCR titers correlate with disease severity, and muscle biopsies frequently show complement deposition on non-necrotic fibers, suggesting a direct immune-mediated attack on muscle cells. Furthermore, regenerating muscle cells express high levels of HMGCR, which may sustain the autoimmune response even after statin withdrawal, leading to persistent disease activity.
Therapeutic strategies for anti-HMGCR-positive patients typically involve aggressive immunosuppressive or immunomodulatory regimens. Initial therapies often include corticosteroids and azathioprine or methotrexate, but many patients require intravenous immunoglobulin (IVIG) to achieve meaningful improvements in strength and CK normalization. Recent studies have explored other potential treatments, including rituximab and plasmapheresis, particularly in statin-naïve patients who may be less responsive to standard immunosuppressive regimens.
As the understanding of anti-HMGCR myopathy expands, it is clear that this disease challenges traditional assumptions about statin-associated muscle toxicity. The ongoing development of specific diagnostic tools and tailored treatment protocols underscores the importance of early identification and targeted intervention, particularly in cases where statin use is not implicated. Future research will continue to refine therapeutic approaches and deepen understanding of the immunologic mechanisms driving this severe autoimmune myopathy.