ホーム > サポート > 第27回「自己抗体と自己免疫」シンポジウム

第27回自己抗体と自己免疫シンポジウム

疾患特異的マーカー研究の最前線
Cutting edge research topics on disease-specific marker

開催日時 2020年2月8日(土)14:00〜18:40 (開場 13:30)
会場 丸ビルホール(丸ビル7階)(東京都千代田区丸の内2-4-1)
後援 株式会社 医学生物学研究所
入場 無料
お問い合わせ koutaisympo@mbl.co.jp
開催日:(2020.2.8 東京)
世話人

渥美 達也 (北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室)
桑名 正隆 (日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野)
藤本 学 (大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学皮膚科学教室)

申し込み

参加ご希望の方はFAX用紙、またはウェブサイトよりお申し込みください。
→ パンフレット・FAX用紙のダウンロード(PDF:1.6 MB)
→ 参加申込みフォーム

Opening remark (14:00 - 14:05)

渥美 達也 (北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室)

講演 (14:05 - 16:25)
  1. 1. 抗MDA5抗体陽性間質性肺炎合併皮膚筋炎の最新知見と治療戦略
    [抄録を見る▼]

    座長佐藤 慎二
    (東海大学医学部 内科学系リウマチ内科学)
    演者中嶋 蘭
    (京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学)


  2. 2. 免疫疾患におけるセマフォリン分子の病的意義とその臨床応用
    [抄録を見る▼]

    座長石津 明洋
    (北海道大学大学院保健科学研究院 病態解析学)
    演者西出 真之
    (大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学)


  3. 3. チオプリン不耐症例を判別するNUDT15遺伝子検査の有用性
    [抄録を見る▼]

    座長岳野 光洋
    (日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野)
    演者角田 洋一
    (東北大学病院 消化器内科)


特別講演(16:25 - 17:25)
Current understandings and future perspectives of anti-synthetase syndrome
[抄録を見る▼]

座長Dr. Masataka Kuwana
(Nippon Medical School Graduate School of Medicine)
演者Dr. Rohit Aggarwal
(Department of Medicine, University of Pittsburgh, Pittsburgh, USA)

Closing remark(17:25 - 17:30)

藤本 学 (大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学皮膚科学教室)

閉会後、ささやかながら情報交換会の場をもうけさせていただきます(17:40-18:40)

1. 抗MDA5抗体陽性間質性肺炎合併皮膚筋炎の最新知見と治療戦略

中嶋 蘭
京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学

 特発性炎症性筋疾患(idiopathic inflammatory myopathy: IIM)には多彩な特異抗体(myositis specific autoantibodies: MSAs)が見出されており,それぞれに対応した臨床的意義・経過・予後が存在することからMSAによってIIMを分類し,マネジメント方針を立てることが可能となってきている.IIMの中でも最も予後不良で難治性病態を呈するものとして抗MDA5抗体陽性間質性肺炎合併皮膚筋炎(dermatomyositis with interstitial lung disease: DM-ILD)が挙げられる.
 抗MDA5抗体はDM特異的であり,日本人においては無筋症性DM (clinically amyopathic DM: CADM)であることが多い.また高率に難治性の急速進行性ILD (RP-ILD)を併発し,そのために発症早期(1年以内)の生存率が悪い.しかし発症後1年以上生存し寛解に至った症例では,長期に安定した経過で再燃が少ないこともよく経験される.こうした臨床特徴から,抗MDA5抗体陽性例では寛解導入療法が最も重要な課題となると言える.
 近年,本邦では抗MDA5抗体陽性例に対して病初期から多剤を組み合わせた免疫抑制治療(ステロイド・カルシニューリン阻害薬・シクロホスファミド大量静注療法)を行うことで予後を改善し得た報告が多くされるようになり,我々は前向き臨床試験を行い,その寛解導入療法としての有用性について示した.ただし,抗MDA5抗体陽性DMには慢性型ILDを示すタイプやILDをほとんど生じないタイプも存在することから,どのような症例に対して多剤併用免疫抑制治療を行うべきか,予後因子による層別化が課題とされる.
 一方,DMの病態背景としてinterferonopathyが示唆され,抗MDA5抗体陽性DMにおいても病変部位における1型IFN誘導性遺伝子/蛋白の発現亢進が示されてきていることから,JAK阻害薬の有用性について注目されるようになっている.実際,抗MDA5抗体陽性DM-ILDに対してトファシチニブが予後改善に有効であるという報告がなされている.
 本講演では抗MDA5抗体陽性DM-ILDの臨床像とともに寛解導入療法の最近のエビデンス,そして寛解維持期の治療についても当施設のコホートによるデータをご紹介する.


2. 免疫疾患におけるセマフォリン分子の病的意義とその臨床応用

西出 真之
大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学

 セマフォリンは神経軸索のガイダンス因子として発見された分子であるが,自己免疫調節においても必須の分子であり,免疫疾患の病態形成に重要な役割を担っていることが示されている.さらに近年,臨床現場から得た患者検体や,疾患マウスモデルを用いて,免疫疾患の診断・治療におけるセマフォリンの有用性を示唆する報告がなされている.
 我々のグループでは,セマフォリン分子のひとつであるSEMA4Dが関節リウマチ,好中球細胞質抗体関連血管炎(ANCA関連血管炎),好酸球性副鼻腔炎の病態と密接に関連している事を明らかにしてきた.中でも好中球,好酸球といった顆粒球にはSEMA4Dが強く発現しており,通常は膜型の分子として存在するSEMA4Dは,各細胞の活性化に伴ってメタロプロテアーゼの作用により膜から切断され,遊離型として血中に分泌される.血清の分泌型SEMA4D濃度の上昇は,ANCA関連血管炎においては,血管炎の病勢を反映するマーカーとして有用であり,好酸球性副鼻腔炎においては,疾患の重症度や鼻腔内ポリープのスコアと相関することがわかった.
 本講演では,セマフォリン分子の概説から,ANCA関連血管炎,および直近の仕事である好酸球性副鼻腔炎とSEMA4Dの関連(Manuscript in press)について発表し,疾患特異的マーカーとしての免疫セマフォリンの有用性について述べる.また,これらの知見をさらに推し進め,現在取り組んでいるセマフォリンを標的とした治療実験や,ANCA関連血管炎疾患モデルマウス樹立への挑戦についても時間の許す限り共有し,議論する機会としたい.

<参考文献>
Nishide M and Kumanogoh A. Nat Rev Rheumatol. 2018 Jan; 14(1): 19-31.
Nishide M, et al. Ann Rheum Dis. 2017 Aug; 76(8): 1440-1448.
Yoshida Y, et al. Arthritis Rheumatol. 2015 Jun; 67(6): 1481-1490.


3. チオプリン不耐症例を判別するNUDT15遺伝子検査の有用性

角田 洋一
東北大学病院 消化器内科

 6-メルカプトプリンと,そのプロドラッグであるアザチオプリンはチオプリン製剤とよばれ,特に炎症性腸疾患やリウマチ性疾患では免疫調節剤として寛解維持治療に用いられる.チオプリン製剤は発売後すでに半世紀以上が経過している古い薬剤であり,近年多用されている抗体製剤に比較すると効果は限定的ではあるものの,抗体製剤よりはるかに安価であり,長い歴史からエビデンスも多数蓄積されている.しかし,チオプリン製剤には白血球減少や脱毛といった特有の副作用があり,稀に非常に重篤な副作用症例に遭遇した場合非常に治療に難渋するため,使いにくい薬剤というイメージもある.そのため,安価で効果のエビデンスもある有用な薬剤ではあるものの,ごく一部で起こるこのような重篤な副作用のために活用されていないこともあり,副作用症例を事前に判別できる方法の登場が望まれていた.そのような中,チオプリン製剤の投与の可否あるいは服用量の決定に有用なNUDT15遺伝子多型検査が2019年2月に保険承認され実用化された.
 NUDT15はチオプリンの最終活性代謝産物を代謝する酵素であり,その機能を著しく低下させるコドン139の遺伝子多型が副作用と強く関連している.特に日本人のおよそ100人に1人で存在するコドン139がCys/Cys型の患者では,チオプリンを継続して服用すると高度の白血球減少や全脱毛がほぼ必発である.野生型であるArg/Arg型ではこのような副作用は発生しないことから,いわゆるチオプリンに特徴的な重篤な副作用例(全脱毛と急性の重篤な白血球減少をきたす症例)はすべてこの遺伝子型の患者にのみ発生するため,事前にNUDT15遺伝子多型を検査しCys/Cys型での治療を回避することで,これまでの急性の重篤な副作用に関する問題の大部分が解決可能である.また,Arg/Cys型の患者では,白血球減少のリスクは高いものの,全脱毛に至る症例はほぼ存在せず,用量を減量することで服用は可能である.ただし,服用期間中は白血球減少のリスクが一貫して高く,服用開始後も慎重なモニタリングが必要という報告もある.このように,より安全にチオプリンによる免疫調節療法を行うため,新たにチオプリンを開始する場合は,必ず事前にNUDT15遺伝子検査をして治療計画を立てることが求められる.
 本講演では,NUDT15遺伝子多型検査の開発に至る経緯から,使い方と有用性のエビデンス,新たな展開について示す予定である.


<SPECIAL PRESENTATION>
Current understandings and future perspectives of anti-synthetase syndrome

Dr. Rohit Aggarwal
Department of Medicine, University of Pittsburgh, Pittsburgh, USA

 The discovery of novel autoantigen systems related to idiopathic inflammatory myopathies (IIMs) has advanced our understanding of the clinical, serological, and pathological correlation in the disease spectrum. One group of the myositis specific autoantibodies (MSAs) is anti-aminoacyl-tRNA synthetase (anti-ARS or anti-synthetase) which defines a syndrome with predominant interstitial lung disease (ILD), arthritis and myositis. Autoantibodies to 8 ARSs have been identified with anti-Jo1 the most common in all of IIMs. Autoantibodies against other ARS are less common, each less than 5% prevalence in IIM, however, collectively (non-Jo-1 antibodies) are about 40% of all anti-synthetase syndrome (ASSD). Disease presentation and prognosis vary depending on which anti-ARS antibody is present. The cardinal clinical features of ASSD include myositis, arthritis, ILD, Raynaud’s phenomenon (RP), fever, and mechanic’s hands, but ILD is the hallmark and most common feature of ASSD seen in 70-80% of cases. Managing ASSD represents a challenge to the clinicians as patients can have multi-system involvement, ILD being the most life-threatening. Myositis in ASSD is clinically typical of polymyositis, but is histopathologically distinct. Arthritis can be presenting symptoms and is often mis-diagnosed as RA. ILD is a major cause of morbidity and mortality in myositis requiring combinations of glucocorticoids, immunosuppressive drugs and agents that modulate T cell function and deplete B cells. Moreover, the muscle, skin and lung disease activity may not be parallel and require multidisciplinary approach from rheumatologists, dermatologists and pulmonologists.
 There is growing recognition that a clinicoserological classification criteria for ASSD is needed. The new 2017 EULAR/ACR classification criteria of IIM does not capture the ASSD especially because the criteria weigh heavily on cutaneous and muscular findings which may be absent or evolve later in ASSD patients. Presence of ILD or non-Jo-1 antibodies are not part of the criteria. To overcome shortcomings of 2017 EULAR/ACR myositis criteria and to promote clinical classification and early recognition of ASSD, currently there is a large multi-center international ACR-EULAR ASSD classification criteria development and validation (CLASS) project is ongoing. In this lecture, we will discuss the current state of knowledge including clinical characteristics, prognostic factors, and management of the anti-synthetase syndrome (ASSD) as well as discuss future directions.