Hemoglobin F (ヘモグロビンF) の免疫組織化学にお使いいただける病理染色用抗体です。ヘモグロビンFの発現や機能、小児の再生不良性貧血や骨髄異形成症候群 (MDS) の診断に関する研究にご利用いただけます。
再生不良性貧血 (aplastic anemia: AA) は、骨髄機能の低下により末梢血中の赤血球数、白血球数、血小板数が減少する疾患です。小児の再生不良性貧血の年間発症数は推定70〜90人で、そのうち50~60%が移植適応とされています。
Hemoglobin F (ヘモグロビンF) は、胎児ヘモグロビンとも呼ばれ、赤血球を構成するタンパク質です。ヘモグロビンFは胎生期では大半を占めますが、出生後に減少し、生後6か月から1年後には全体の1%以下になることがわかっています。
ヘモグロビンFの測定は、先天性溶血性貧血の診断の補助検査として、HPLCを用いて行われています。また、骨髄異形成症候群 (MDS) や白血病などの造血器腫瘍性疾患や再生不良性貧血において、ヘモグロビンFが高値を示すことがあり、病態把握の一手段としても測定されています。しかし、現在の測定系では、報告までの日数に数日を要するため、簡便な測定系の開発が望まれています。
抗Hemoglobin F抗体 (Code no. PM078)はヘモグロビンAには交差反応せず、ヘモグロビンFに特異的な抗体です。免疫染色では、成体骨髄の赤芽球には全く染まりませんでしたが、胎児肝臓やMDS患者の骨髄中の赤芽球には陽性を示しました。
抗Hemoglobin F抗体 (Code no. PM078)は、胎児期の造血の研究や、様々な血液疾患研究にも有用です。