臨床的に筋炎症状を認めない皮膚筋炎(Clinically amyopathic DM: CADM)では、高率に急速進行性間質性肺炎を併発することが知られています。急速進行性間質性肺炎は、呼吸状態が悪化してしまうと、きわめて治療抵抗性で生命予後不良です。そのため、呼吸機能が保たれている早期に発見・診断し、強力な治療を開始することの重要性が示されています。
抗MDA5抗体は、皮膚筋炎の診断の補助、とくに急速進行性間質性肺炎を伴う皮膚筋炎の早期診断の補助に有用です。本抗体の測定により難治性病態の予後改善が期待されます。
MDA5は、retinoic acid inducible gene I(RIG-I)ファミリーに属するタンパク質です。ウイルス感染時にⅠ型インターフェロンを誘導することで、自然免疫におけるウイルス感染防御を担っているタンパク分子であり、MDA5は特にピコルナウイルス属などRNAウイルスに対する防御を担っています。
抗MDA5抗体は、CADMでは65.2%(43/66)、CDM(Classic DM)では10.0%(10/100)の陽性率でした。DM以外の疾患では陽性となる検体はなく、疾患特異性が非常に高い試薬であることが確認されました。抗MDA5抗体が陽性の患者は間質性肺炎を合併する割合が非常に高く(90.9%(50/55))、かつ、その多くが急性(1ヶ月以内に進行)あるいは亜急性(1~3ヶ月で進行)に発症していることが確認されました。
※測定範囲上限は、Index値150までです。抗体価の変動をモニターする場合は添付文書をご確認ください。
ELISAにて測定します。マイクロプレートウェルにMDA5タンパク質が固相されており、希釈した患者検体を分注し、30分間反応させます。洗浄により未反応の抗体を除去した後、酵素標識抗体を分注し、30分間反応させます。再び洗浄により未反応の酵素標識抗体を除去した後、酵素基質を分注し15分反応させたのち、反応を停止させ、吸光度を測定します。検体と同時に測定した標準液の吸光度と検体の吸光度よりIndex値を計算し、判定します。