抗TIF1-γ 抗体陽性の皮膚筋炎は、皮膚筋炎のおよそ2~3割に認められます。
その特徴は次のとおりです。
◎ 蛍光抗体法による抗核抗体検査ではSpeckled 型として検出されるが、低力価(40x-160x)であることが多い。
◎ 筋炎の症状は軽度で、血清クレアチンキナーゼ(CK)も軽度~中等度の上昇にとどまる例が多い。しかし、嚥下障害はしばしば経験する。
◎ 強い紅色調の皮疹が広範囲に出現することが特徴で、ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候やゴットロン丘疹といった皮膚筋炎特異的な皮疹が高頻度に認められる。また、V サインやショールサイン、むち打ち様紅斑やポイキロデルマも他の筋炎特異的自己抗体陽性患者に比して有意に多い。高度の浮腫や水疱形成をともなうこともある。
◎ 悪性腫瘍合併例での陽性例が多く、本抗体陽性例については悪性腫瘍の徹底した検索と、慎重な経過観察を行うことが求められる。
◎ 小児の皮膚筋炎では、本抗体陽性例が最も多く認められる。
TIF1-γ(Transcriptional Intermediary Factor 1-γ:別名TRIM33)は155 kDaのタンパク質で、TRIMファミリーの1つです。TIF1-γ タンパク質の作用は、ヘテロクロマチン依存的な転写抑制状態の維持への関与や、RNA
polymerase Ⅱの転写調節因子として、さらにp53やSMAD4のユビキチン化促進活性などが知られています。
抗TIF1-γ 抗体は、CDM(Classic DM)で28.8%(30/104)、無筋症性皮膚筋炎(CADM)で5.9%(4/68)の陽性率でした。PMでは陽性となる検体はありませんでした。PM/DM以外の膠原病で2例(1.1%)、特発性間質性肺炎(IIP)で1例(0.6%)が陽性となりました。
※測定範囲上限は、Index値150までです。Index値150を超えた測定結果は、参考値としてください。
ELISAにて測定します。マイクロカップにTIF1-γ タンパク質が固相されており、希釈した患者検体を分注し、30分間反応させます。洗浄により未反応の抗体を除去した後、酵素標識抗体を分注し、30分間反応させます。再び洗浄により未反応の酵素標識抗体を除去した後、酵素基質を分注し15分反応させたのち、反応を停止させ、吸光度を測定します。検体と同時に測定した標準液の吸光度と検体の吸光度よりIndex値を計算し、判定します。