水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)は、主に高齢者に見られる慢性で痒みのある自己免疫性水疱性疾患であり、緊満性水疱と紅斑が混在多発することを特徴とします。患者の血清中には、表皮基底膜部に対するIgG自己抗体が認められ、病変部の基底膜部にIgGとC3の線状沈着が認められます。
水疱性類天疱瘡患者の血清中に存在する自己抗体の標的抗原は230kDのBP230と、180kDのBP180であり、これらはそれぞれBPAG1、BPAG2とも呼ばれています。BP180(BPAG2)は膜貫通蛋白質で、細胞外ドメインにはGly-X-Yというコラーゲンに特徴的な配列を認めることから、XVII型コラーゲンとされています。BP230(BPAG1)は細胞質内に存在することから、自己抗体が直接結合するのはBP180であると考えられており、BP230に対する自己抗体は二次的に産生されるとの考え方が現在のところ支配的です。
BP180の主要なエピトープは、NC16aと呼ばれるもっとも細胞膜に近い部分に存在し、大部分の患者の血清がこの部位の組み換え蛋白質に反応性を示します
1)。このような抗原をウサギに免疫することで得たマウスのBP180のNC16a部分に対する抗体は新生仔マウスに投与すると水疱性類天疱瘡と同様の水疱が形成されることが確認されています
2)。
本試薬は抗原としてBP180NC16aを用いており、患者の血清中の抗BP180抗体を特異的に測定することができます
3)。
ステイシア MEBLux™テスト BP180は、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)により血清中の抗BP180抗体を測定する試薬です
4)。
