抗デスモグレイン1抗体(抗Dsg1抗体)は、落葉状天疱瘡や尋常性天疱瘡の患者血清中に見出される自己抗体で、落葉状天疱瘡の病因であることが明らかにされています。
落葉状天疱瘡はほぼ全身に小水疱と落屑性の紅斑を生じる、重篤な自己免疫性水疱性疾患です
1)。尋常性天疱瘡と異なり、粘膜に病変がでることはほとんどありません。
天疱瘡患者血清中には、表皮細胞膜抗原に対する自己抗体が存在し、この自己抗体自身が病因的役割をしていることは、新生仔マウスに、患者血清中より精製されたIgGを注入すると、マウス皮膚に天疱瘡様病変が誘導されることにより確認されています
2)。しかし、長い間標的抗原が不明なことから、この自己抗体を特異的に測定することは困難でした。
現在では落葉状天疱瘡の標的抗原は、免疫化学的にデスモソームの構成蛋白であるデスモグレイン1(Dsg1)であることが同定され、cDNAクローニングによりカドヘリン型の接着因子であることが明らかにされています
3)。さらに天谷らは、抗原本来の立体構造を正しく反映している組換え蛋白質の作製に成功し
4)、作製された組換え蛋白質は、患者血清中の自己抗体を特異的に吸収除去できること、水疱形成を誘導する病的活性も除去できることを示しています。
本試薬は本来の立体構造を正しく反映した組換え蛋白質を抗原として用いており、特異的に抗デスモグレイン1抗体を測定することができます。また抗体価は、ある程度の病勢を反映するといわれています
5)。
ステイシア MEBLux™テスト Dsg1は、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)により血清中の抗デスモグレイン1抗体を測定する試薬です。
ELISAを用いて、抗Dsg1抗体、抗Dsg3抗体を高い感度および特異的に測定することにより、天疱瘡の病型の血清学的鑑別が可能になり、
それぞれの病型が独自の抗体プロファイルを持つことが明らかにされました。