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抗MDA5抗体 診断・モニタリングへの応用とその注意点 ~測定範囲の変更に関して~

監修:日本医科大学大学院医学研究科
アレルギー膠原病内科学分野
教授 桑名 正隆 先生

抗MDA5抗体測定の意義
診断のための測定
抗MDA5抗体は、筋症状の無いあるいは軽度の皮膚筋炎の患者さんにおもに検出され、急速に進行する間質性肺炎を併発する頻度が高く、適切な治療が早期に開始されない場合、予後不良の経過をたどることが多いことが報告されています。
モニタリングのための測定
抗MDA5抗体は値の変動により、疾患の活動性、治療効果の判定など、モニタリングに有用とされています。

測定範囲の変更について

下の対比表の通り、測定範囲を変更します。また、希釈再検推奨範囲ならびに最終希釈倍率についての情報を試薬添付文書に追記しました。これにより、報告値範囲が変更となっています。(2018年9月より変更)

対比表


測定範囲を変更する理由
従来、抗MDA5抗体価がIndex値=150以上を示す症例では、抗体価の変動が評価できず、疾患活動性や治療効果の判定に用いることが困難でした。この課題を解消するため、測定範囲を変更します。本変更により、高値の検体であっても抗体価の変動を確認することができるようになり、疾患の活動性や、治療効果の判定に用いることができるようになります。
感嘆符

変更に伴う注意点


変更に伴う注意点

従来、Index値が100以上と報告されていた患者さんについては、抗体価の変動が正しく反映されません。
治療効果の判定に際しては、抗MDA5抗体価の変動だけでなく、臨床症状、画像所見、血清フェリチン値、KL-6、SpO2などを加味し、総合的に判断することが重要です。


変更前と変更後の測定値相関性

測定値相関性


症例報告

56歳女性
X-1年11月 眼瞼腫脹にて近医受診、X-1年12月 腫脹悪化。
X年1月 旭川医科大学に転院、入院(第0病日) 両眼瞼の紫紅色浮腫性紅斑・両拇指外側および両示指内側の角化性局面などあり、呼吸器症状なし、画像とも異常認めず、抗MDA5抗体陽性。その後、自覚的な呼吸器症状や酸素飽和度の低下はなかったものの、胸部CTにて両下肺野中心にnonspecific interstitial pneumonia(NSIP)パターンのすりガラス陰影が出現した。
多剤併用療法を開始してまもなく抗MDA5抗体価が低下し始め、第100病日頃からフェリチンとKL-6が低下した。
第150病日を過ぎて皮疹はほぼ消退した。

症例報告

症例ご提供:旭川医科大学 皮膚科 講師 岸部 麻里 先生


希釈再検を実施しない場合、抗MDA5抗体価は第110病日まで抗体価の変動が確認できなかったが、希釈再検を実施することにより、抗体価の変動が確認された。抗MDA5抗体価は血清フェリチン値やKL-6の値に先行して、抗体価の減少が確認された。希釈再検によって求めた抗体価は、治療効果や病勢を知り、治療方針を立てるうえで有益であった。

作成:2018年12月 web公開:2020年3月