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自己免疫疾患検査

皮膚筋炎特異的自己抗体 抗TIF1-γ抗体、抗Mi-2抗体 その特徴と注意点

監修:現 大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学皮膚科学教室
(旧 筑波大学医学医療系皮膚科)
教授 藤本 学 先生

抗Mi-2抗体が陽性の場合、抗TIF1-γ抗体も陽性となる場合があります。

抗TIF1-γ抗体が陽性(特にIndex値=60以下の弱陽性)の場合、
抗Mi-2抗体の有無を確認してください。

判定
抗TIF1-γ抗体または抗Mi-2抗体が陽性の場合、皮膚症状はどちらも強く、臨床所見だけで鑑別することは容易ではないため自己抗体の有無によって分類されます。
しかし、TIF1-γとMi-2はどちらも転写に関与するタンパク質で、相同性の高い領域があるため抗体の交差反応が起こりやすく、その判定には注意が必要です。


抗TIF1-γ抗体陽性、抗Mi-2抗体陽性症例の臨床的特徴
臨床的特徴


感嘆符

抗TIF1-γ抗体陽性例と抗Mi-2抗体陽性例との間で大きく異なる臨床的特徴は、悪性腫瘍の合併率以外はありません。抗体の有無により病型分類されるため、抗体検査の結果の解釈は非常に重要となります。


抗Mi-2抗体陽性症例の抗TIF1-γ抗体価への影響

以前より、抗Mi-2抗体が陽性の場合、抗TIF1-γ抗体価がカットオフ値付近となる検体があることが確認されていました。
MESACUP™ anti-TIF1-γ テストが臨床現場において広く用いられるようになった結果、抗Mi-2抗体陽性例で抗TIF1-γ抗体が弱陽性となる検体が存在することが明らかとなりました。

疾患群別の抗TIF1-γ抗体測定値分布(MESACUP™ anti-TIF1-γ テスト臨床性能試験結果より)

影響


抗原添加吸収試験による反応性の検討結果*

検体への抗原添加前後で抗TIF1-γ抗体を測定し値の変化を確認する抗原添加吸収試験を実施した結果、抗TIF1-γ抗体陽性の検体群はMi-2抗原を添加しても測定値の減少が見られませんでしたが(図a 緑色)、抗Mi-2抗体陽性群では測定値の減少が確認されました(図a 青色)。さらに、TIF1-γ抗原とMi-2抗原の相同性が高い領域を含むペプチド(aa 1-679)の添加吸収試験の結果より、抗Mi-2抗体陽性検体群はTIF1-γ抗原との交差反応により抗TIF1-γ抗体価が得られていたことが明らかとなりました。
*:Fujimoto M. et al., J Dermatol. Sci. 2016;84.272-281


抗原添加吸収試験による反応性確認

抗原添加吸収試験による反応性の検討結果


抗原添加吸収試験:自己抗体を測定する際に、あらかじめ検体に抗原を添加して測定を行います。検体中に抗原と反応する自己抗体が含まれている場合は競合阻害が生じ、自己抗体の測定値が低下します。


作成:2018年12月 web公開:2020年3月