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「COVID-19診断用核酸増幅検査薬一斉試験」MBL試験データ

このたび、当社が販売しております新型コロナウイルスを検出する体外診断用医薬品「MEBRIGHT™ SARS-CoV-2 キット」(本キット)につきまして、国立医薬品食品衛生研究所(国立衛研)が実施いたしました「COVID-19診断用核酸増幅検査薬一斉試験」(厚生労働省令和2年度新型コロナウイルス感染症に係る体外診断薬の信頼性確保事業)に参加し、その結果が公表されました。

>>COVID-19診断用核酸増幅検査薬一斉試験の結果報告(国立医薬品食品衛生研究所)

当社では、この試験に参加するとともに、国立衛研のご協力の下、本キットの測定精度に関する詳細な検証を実施いたしましたので、この結果を下記の通り公開いたします。

なお、本キットは、国内で新型コロナウイルス感染症が広がる中、厚生労働省の要請に応じ、極めて短い期間で開発した製品でありますが、国立感染症研究所「病原体検出マニュアル2019-nCoV」記載のリアルタイムone-step RT-PCR法による検出系を参考に、当社がこれまで培ってきた体外診断用医薬品としての遺伝子試薬の開発技術と品質基準を基にした製品であり、今回の国立衛研の試験ならびに当社で行った試験および追加検証において良好な結果が得られています。

1. 評価試験(国立衛研指定の試験)

概要

国立衛研が設定したプロトコルに従い、検体情報が秘匿された検体(濃度の異なる陽性検体6検体と陰性検体1検体の合計7検体)について二重試験を三回実施しました(合計42測定)。
この結果、新型コロナウイルス検出試薬の検出感度として求められている50コピー/反応よりコピー数が低い3検体(2~20コピー/反応)を含む全ての陽性検体が、全ての測定で陽性と判定されました(36回/36回、100%)。
但し、弊社で実施した評価試験のうち1回の測定において陰性検体1検体が陽性と判定されました。このため、本キットで特に陰性検体が偽陽性として判定される可能性(操作上のミス(コンタミネーション)による検出)について、国立衛研の協力の下、詳細な検証を実施しました(後述「2.追加検証」)。

なお、国立衛研で行われた評価試験の結果は国立衛研のウェブサイトで公開されていますので、そちらもご確認ください。

>>COVID-19診断用核酸増幅検査薬一斉試験の結果報告(国立医薬品食品衛生研究所)


詳細
目的

早期に薬事承認または保険適用を受けたCOVID-19診断用PCR検査薬の信頼性を保証する目的で、性能評価試験を実施する。


方法

・国立衛研で調製した「模擬ウイルス溶液(濃度の異なるもの合計7種類)」3セットを臨床検体を想定して
 測定を行う。
・ブラインドで測定を実施するチューブ番号とコピー数の関係は非開示とする。
・各模擬ウイルス溶液につき2 点ずつ(duplicate)の測定を、日を変えて3 回実施する。
 ※2点(2検体)はそれぞれ別々にRNA抽出を行う。
・測定日毎に新しい標準ウイルス溶液1 セットを溶解して使用する。
・測定結果については「陽性 or 陰性」の結果を報告する。


結果

測定結果を国立衛研に報告した結果、回答を頂いた各検体の陽陰性と測定結果の関係は以下の通りです。
各検体の陽陰性と測定結果の関係


新型コロナウイルス検出試薬の検出感度として求められている50コピー/反応よりコピー数が低い3検体(2~20コピー/反応)を含む全ての陽性検体が、全ての測定で陽性と判定されました(36回/36回、100%)。
但し、弊社で実施した評価試験のうち1回の測定において陰性検体1検体が陽性と判定されました。この「擬陽性」については、次の「2.追加検証(考察:操作上のミス(コンタミネーション等)による検出の可能性について)」をご確認ください。


2. 追加検証(考察:操作上のミス(コンタミネーション等)による検出の可能性について)

概要

評価試験の1測定で陰性検体(1検体)が、測定データ(増幅曲線)としては偽陽性の可能性が疑われながらも判定結果としては陽性と判定された原因について、国立衛研の協力の下、詳細な追加検証(陽性検体:延べ18測定、陰性検体:延べ558測定、合計:576測定)を実施しました。
この検証の結果、測定が適切に実施された場合、本キットの測定で陽性検体は正しく陽性に、陰性検体は正しく陰性に判定されることが確認されました(※この追加検証の結果は速やかに国立衛研に報告し、ご確認を頂いております)。
なお、弊社ではこの検証の結果から、評価試験で発生した1測定での偽陽性の原因特定ができませんでしたが、測定実施時期に測定機の不具合が発生していたことから、これも要因の一つとして考えています。

※メーカーの点検・修理を行い、現在は問題がないことを確認しています。


詳細
目的

測定時に想定される様々な要因(以下4要因)環境下において、弊社キットの測定で検体が正しく陽性・陰性に判定されるかを確認することを目的としました。

 ・要因①:抽出環境の違い(実施日、実施者)
 ・要因②:測定試薬の調製環境の違い(実施日、測定者)
 ・要因③:測定者の違い(実施日、抽出担当者との組み合わせ)
 ・要因④:測定機器の違い


方法

目的で示した要因を考慮し、以下の4種類の方法で検証を行いました。
なお、それぞれの操作、測定では、作業実施者・測定者には検体の陽陰性がわからないようランダムな番号を付与したブラインド試験の形で実施しています。

 ・方法1:陽性検体と陰性検体を同時に抽出する工程を全3回、実施日と実施者を変えて実施する。
     【要因①】
 ・方法2:方法1で抽出した検体を3重ずつ測定し、反応性を確認する。【要因②】
 ・方法3:方法2の検証を異なる実施日に、抽出の実施者と測定者の組み合わせを変えて実施する。
     【要因③】
 ・方法4:方法1で抽出した全検体を2および3で使用した測定機器とは別の測定機器を使用して測定を
       行う。【要因④】

※この検証では、国立衛研より供与された検体(陽性検体:43,000コピー/mL、陰性検体:0コピー/mL)を用いています。


結果

方法1から方法4の検証の結果は以下の通りでした。

 1. 方法1および方法2の検証で実施した3回の測定において、陽性検体はすべて陽性、陰性検体はすべて
   陰性と判定された。
 2. 方法3の検証で測定者を変更した抽出、測定において、陽性検体はすべて陽性、陰性検体はすべて陰性
   と判定された。
 3. 方法4の検証で測定機器を変更した測定において、陽性検体はすべて陽性、陰性検体はすべて陰性と判
   定された。


考察

抽出は陽性検体、陰性検体を同時に処理したが、全ての検証において陽性検体はすべて陽性と判定され、陰性検体はすべて陰性と判定されました。また、操作者や測定者、測定機器を変更して抽出と測定を行いましたが、反応性や判定結果に差は確認されず、想定した要因の影響を受けることなく安定して正しい判定結果が得られることが確認されました。


結論

測定が適切に実施された場合、様々な測定環境に変更があっても本キットの測定では検体が正しく陽性・陰性に判定できることが確認されました。


資料

1. 評価試験

◎ 測定結果(1回目)

測定結果(1回目)の表
表1 PDF版:295KB


測定結果(1回目)の図
図1 PDF版:947KB


◎ 測定結果(2回目)

測定結果(2回目)の表
表2 PDF版:295KB


測定結果(2回目)の図
図2 PDF版:584KB


◎ 測定結果(3回目)

測定結果(3回目)の表
表3 PDF版:305KB


測定結果(3回目)の図
図3 PDF版:944KB



2. 追加検証

方法1:陽性検体と陰性検体を同時に抽出する工程を全3回、実施日と実施者を変えて実施する。【要因①】

対象検体と抽出作業、検体番号
表1 PDF版:167KB


方法2:方法1で抽出した検体を3重ずつ測定し、反応性を確認する。【要因②】

方法3:方法2の検証を異なる実施日に、抽出の実施者と測定者の組み合わせを変えて実施する。【要因③】

増幅曲線
図1 PDF版:890KB


Ct値
表2 PDF版:316KB


方法4:方法1で抽出した全検体を2および3で使用した測定機器とは別の測定機器を使用して測定を行う。【要因④】

機器間差の増幅曲線
図2 PDF版:578KB


機器間差のCt値
表3 PDF版:386KB