略語集
SS: Sjögren Syndrome(シェーグレン症候群)
ENA: Extrable Nuclear Antigen(可溶性核抗原)
SLE: Systemic Lupus Erythematosus(全身性エリテマトーデス)
SSc: Systemic Sclerosis(全身性強皮症)
MCTD: Mixed Connective Tissue Disease(混合性結合組織病)
PM/DM: PolyMyositis/DermatoMyositis(多発性筋炎/皮膚筋炎)
CHB: Congenital Heart Block(先天性心ブロック)
NLE: Neonatal Lupus Erythematosus(新生児ループス)
ACR: American College of Rheumatology(アメリカリウマチ学会)
EULAR: The European Alliance of Associations for Rheumatology(欧州リウマチ学会)
EIA: enzyme immunoassay(酵素免疫測定法)
IIF: indirect immunofluorescence(間接蛍光抗体法)
CLEIA: chemiluminescent enzyme immunoassay(化学発光酵素免疫測定法)
FEIA: fluorescence enzyme immunoassay(蛍光酵素免疫測定法)
抗SS-A抗体はシェーグレン症候群(Sjögren Syndrome: SS)患者血清中に高頻度に見いだされる自己抗体です。1975年、Alspaugh, TanらによりSSに特異性の高い抗体として報告され[1]、後にそれらはMattioliらにより先に報告されていた抗Ro抗体[2]と同一であることが判明しました。現在では、抗SS-A/Ro抗体の名称が一般化しています。
抗SS-A/Ro抗体の対応抗原は1988年にChetritらによってImmunoblot法を用いた実験により分子量60 kDa、52 kDaの二つの分子が報告されました[3]。
抗SS-A抗体は、可溶性の核画分に対する抗体である抗ENA(Extractable Nuclear Antigen)抗体の一つです[4]。
抗SS-B抗体はシェーグレン症候群(Sjögren Syndrome: SS)患者血清中に見いだされる自己抗体です。1975年、Alspaugh, TanらによりSSに特異性の高い抗体として、抗SS-B抗体が報告され[1]、後にそれらはMattioliらにより先に報告されていた、抗La抗体[2]と同一であることが判明しました。現在では、抗SS-B/La抗体の名称が一般化しています。
抗SS-B抗体は、可溶性の核画分に対する抗体である抗ENA(Extractable Nuclear Antigen)抗体の一つです[4]。
抗SS-A/SS-B抗体はシェーグレン症候群の代表的な自己抗体であり、シェーグレン症候群の診断に有用です。厚生労働省研究班のシェーグレン症候群改訂診断基準(1999)の診断項目にも含まれています。また、シェーグレン症候群診療ガイドラインにも診断に有効な自己抗体として抗核抗体、リウマトイド因子と共に掲載されています[5]。
SSを示唆する患者群に対し専門家による臨床診断を対照とした研究において「抗SS-A抗体、抗SS-B抗体陽性」は感度83.7%、特異度91.5%でした[6]。
若年で乾燥症状を伴い2016ACR (American College of Rheumatology)/EULAR(The European Alliance of Associations for Rheumatology)基準に合致した患者を若年性SS(juvenile SS: JSS)、基準に合致しない患者をnon-JSSとして解析した研究では抗SS-A抗体は感度55.6%、特異度94.7%、抗SS-B抗体は感度14.8%、特異度96%と報告されています[7]。
シェーグレン症候群は涙腺、唾液腺の外分泌機能低下を特徴とする自己免疫疾患です。リンパ球が涙腺・唾液腺に浸潤し、それが外分泌機能低下に深くかかわっていると考えられています。他の膠原病の合併が見られない一次性SSと膠原病の合併がある二次性SSとに大別されます。
一次性SSでは抗SS-A/Ro抗体は33~74%と比較的に高率に検出されます。しかし、全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus: SLE)や全身性強皮症(Systemic Sclerosis: SSc)、多発性筋炎/皮膚筋炎(PolyMyositis/DermatoMyositis: PM/DM)などの他の膠原病でも陽性となり疾患特異性は低いと考えられています。抗SS-B/La抗体はSSでの検出率は23~53%であるが特異度が高いとされています[8]。
また、近年では抗SS-A/Ro抗体を抗Ro60抗体と抗Ro52抗体に分けた解析が行われ臨床像の違いが報告されています[9]。
抗SS-A/Ro抗体は、一次性SS及び、全身性エリテマトーデス(SLE)重複群、混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease : MCTD)重複群で70%以上に認められ、その他の膠原病重複群では30~50%に認められるほか、SLEで70%以上に、MCTDや全身性強皮症(SSc)、多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)でも30%程度に認められることが報告されています[10]。
抗SS-A抗体陽性の女性が妊娠した場合、新生児が新生児ループス(Neonatal lupus Erythematosus: NLE)を発症することがあります。NLEでは新生児に先天性心ブロック(Congenital Heart Block: CHB)や皮膚病変などの症状を呈します。心外病変はいずれも一過性ですが、CHBは児の死亡やペースメーカーが必要となるなど最も予後に与える影響が大きい症状です[11]。
抗SS-A抗体陽性女性から出生する児の約10%にNLEが発症し、約1%にCHBが発症します。母体の抗SS-A抗体高値は児CHB発症リスクであり、前子でNLE/CHB発症した場合次回妊娠で反復リスクが高くなります[11]。
プロカインアミド、ヒドララジンなど多くの薬剤により薬剤誘発性ループスが発症することが知られています。亜急性皮膚エリテマトーデスも薬剤により誘発され、多くの場合で抗SS-A抗体が陽性となり、抗SS-B抗体が陽性となることもあります[12]。
抗SS-B抗体陽性例では多くの場合で抗SS-A抗体も陽性となりますが抗SS-A抗体陰性となる抗SS-B抗体単独陽性例も報告されています。10,500症例の一次性SSが登録されたThe Big Data Sjögren Project Consortiumレジストリの大規模解析によると抗SS-B抗体単独陽性例が248例あったと報告されています。この報告では抗SS-A抗体と抗SS-B抗体に対する陽陰性の組み合わせでも解析されており、表現型、疾患活動性の指標であるESSDAI(EULAR Sjogren's Syndrome Disease Activity Index)の各ドメインで差が見られることが報告されています[13]。
•化学発光酵素免疫測定法:ステイシア試薬
(chemiluminescent enzyme immunoassay: CLEIA)
検出に化学発光を用いる酵素免疫測定法です。抗原が結合した磁性粒子と検体を反応させると抗原-抗体反応が生じます。この磁性粒子を集磁・洗浄した後、酵素標識抗体を加えると、抗原結合磁性粒子-抗体-酵素標識抗体の複合体が形成されます。続いて集磁・洗浄し未反応物を除去してから、基質液を加えると、基質は複合体中の酵素によって加水分解され発光します。この発光をカウントすることによって検体中の抗原特異的自己抗体濃度を測定します。溶液中に浮遊する抗原結合磁性粒子と検体を混合して反応させることで、短時間で効率的な自己抗体の検出が可能です。
•最小検出感度
| 項目名 | |
|---|---|
| SS-A | 1.0 U/mL |
| SS-B | 1.0 U/mL |
•基準値
| 項目名 | |
|---|---|
| SS-A | 陽性:≧10.0 U/mL 陰性:<10.0 U/mL |
| SS-B | 陽性:≧10.0 U/mL 陰性:<10.0 U/mL |
ステイシア試薬は以下の構成で設計しています。試薬の設計は各社で異なり、この違いから測定結果の乖離が生じる可能性があります。
| ステイシア MEBLux™テスト SS-A | ステイシア MEBLux™テスト SS-B | |
|---|---|---|
| 測定原理 | CLEIA | CLEIA |
| 抗原由来 | Native抗原(60 kDa)* | Native抗原 |
| 検出用抗体 | 抗ヒトイムノグロブリンポリクローナル抗体(ヤギ) | 抗ヒトイムノグロブリンポリクローナル抗体(ヤギ) |
| 標識物質 | アルカリホスファターゼ | アルカリホスファターゼ |
| 検出用基質 | 2-クロロ-5-(4-メトキシスピロ{1,2-ジオキセタン-3,2'-(5'-クロロ)-トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}-4-イル)-1-フェニルホスフェート・二ナトリウム (慣用名:CDP-Star) |
2-クロロ-5-(4-メトキシスピロ{1,2-ジオキセタン-3,2'-(5'-クロロ)-トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}-4-イル)-1-フェニルホスフェート・二ナトリウム (慣用名:CDP-Star) |
| 検出対象 | 発光 | 発光 |
*52 kDaは使用しておりません。
最終更新日:2025年7月