MEBGEN RASKET™-B キットはどの薬剤に対するコンパニオン診断薬か?
MEBGEN RASKET™-B キットが検出できる遺伝子変異の種類は?
略語集
BEV/Bmab: ベバシズマブ
BRAF: B-Raf proto-oncogene, serine/threonine kinase
Cape: カペシタビン
CAPOX: Cape+OX
CET: セツキシマブ
EGF: Epidermal Growth Factor(上皮成長因子)
EGFR: Epidermal Growth Factor Receptor(上皮成長因子受容体)
ERK: extracellular regulated MAP kinase
FL: 5-FU+LV
FOLFIRI: FL+IRI
FOLFOX: FL+OX
FOLFOXIRI: FL+OX+IRI
HRAS: HRas proto-oncogene, GTPase
IRI: イリノテカン
KRAS: KRAS proto-oncogene, GTPase
LV: ロイコボリン
MAPK: Mitogen-activated protein kinase(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)
MEK: Mitogen-activated Extracellular signal-regulated Kinase(マイトジェン活性化細胞外シグナル関連キナーゼ)
NRAS: NRAS proto-oncogene, GTPase
OX: オキサリプラチン
PANI: パニツムマブ
RAS: rat sarcoma viral oncogene
SOX: S-1+OX
S-1: テガフール/ギメラシル/オテラシル配合剤
VEGF: Vascular Endothelial Growth Factor(血管内皮増殖因子)
5-FU: フルオロウラシル
治療薬解説
RAS(rat sarcoma viral oncogene)遺伝子は、細胞の分化、増殖に関与するRASタンパク質をコードしています。
EGFRにEGFが結合すると、RASタンパク質が活性化され、RAF/MEK/ERKなどのMAPKカスケードが次々に活性化され、細胞増殖が促進されます。一方、EGFRにEGFが結合しないと、RASタンパク質は活性化されず、細胞増殖は抑制されます。(図1)
RAS遺伝子は、KRAS、NRAS、HRASの3種類があり、3種類のうちのどれかに変異が入ると増殖シグナルが出続けるため、細胞増殖が続き、癌が発生しやすくなると考えられています。
図1. RASとMAPKカスケード
抗EGFR 抗体薬はEGFRの細胞外ドメインに結合し、リガンド依存性のEGFR下流シグナル伝達を阻害する分子標的薬です。進行大腸癌に対して抗EGFR 抗体薬の使用が認められており、大腸癌の薬物療法の効果が期待されています。
しかし、RAS遺伝子が変異すると抗EGFR抗体薬を投与しても、RASの活性化は抑えられないため、変異型RAS遺伝子には抗EGFR抗体薬の効果が期待できません。(図2)
図2. 抗EGFR抗体薬の作用
切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌において、RAS(KRAS/NRAS)遺伝子エクソン2(コドン12、13)、エクソン3(コドン59、61)、エクソン4(コドン117、146)のいずれかに変異を有する場合、EGFRなどの上流からの刺激を抑制してもRASの活性を抑制できないため、抗EGFR抗体薬であるセツキシマブ、パニツムマブの治療効果が期待できないことが報告されています。そのため、切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の化学療法開始前にRAS遺伝子変異を確認し、RAS遺伝子変異の有無に応じて、セツキシマブ及びパニツムマブの適応を判断することは、臨床的有用性が高いと考えられており、RAS遺伝子変異検査が広く行われています。
また、「大腸癌治療ガイドライン医師用」において、切除可能大腸癌における術後補助化学療法は、個々の患者で想定される再発リスクと期待される効果に基づいて治療選択を行うことが推奨されています。RAS遺伝子変異は、その再発リスクを予測する因子の候補と考えられており、「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス」の基本的要件にも、切除可能大腸癌において、再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法の開始前にRAS遺伝子変異検査を実施することが記載されています。
BRAF(B-Raf proto-oncogene, serine/threonine kinase)遺伝子は、細胞の分化、増殖に関与し、RAS/RAF/MEK/ERK経路を構成するセリン/スレオニンキナーゼであるBRAFタンパク質をコードしています。
BRAFタンパク質が活性化されると、MEK/ERKなどのMAPKカスケードが次々に活性化され、細胞増殖が促進されます。
BRAFに遺伝子変異が認められると、RAS遺伝子とは非依存的に、さらに下流に位置するMEK及びERKを活性化させ、細胞の異常な増殖を引き起こすと考えられています。(図3)
図3. BRAFとMAPKカスケード
結腸・直腸癌ではRAS遺伝子の下流にあるBRAFにも遺伝子変異が認められ、そのほとんどがエクソン15にあるコドン600のバリンがグルタミン酸へ変化するV600E変異であることが知られています。このBRAF V600E変異が生じている癌細胞の場合、BRAF変異型タンパク質が恒常的に活性化されており、RASとは非依存的に、さらに下流に位置するMEK及びERKを恒常的に活性化させます。それにより、シグナル伝達制御に異常が生じ、細胞の異常な増殖を引き起こすと考えられています。
そのため、BRAF遺伝子変異(V600E)を持つ切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌は、極めて予後不良であることが知られており、早期に強力な治療を行うことが必要であることから、近年では、FOLFOXIRI*+ベバシズマブ(BEV/Bmab)療法の有効性が示されています。
このことから、切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の化学療法開始前にBRAF遺伝子変異(V600E)の有無に応じてFLOFOXIRI+BEV/Bmab療法の選択を行うことは、臨床的有用性が高いと考えられます。
*FOLFOXIRI: 5-FU/ロイコボリン(LV)+オキサリプラチン(OX)+イリノテカン(IRI)
主にミスマッチ修復(MMR)遺伝子の生殖細胞系列変異を原因とする常染色体優性遺伝性疾患であるリンチ症候群は、患者及び家系内に大腸癌、子宮内膜癌をはじめ、さまざまな悪性腫瘍が若年発症することから、その診断は臨床的に重要であると考えられます。
「遺伝性大腸癌診療ガイドライン」では、リンチ症候群が疑われる大腸癌の診断の手順において、マイクロサテライト不安定性(MSI)検査により高頻度MSI(MSI-H)又は免疫染色でMMRタンパク質の消失が認められた症例に対して、腫瘍組織のBRAF遺伝子変異(V600E)検査を実施することが記載されています。
リンチ症候群の大部分の大腸癌ではMSI-Hを示しても、BRAF遺伝子変異(V600E)はほとんど認められない*ことが報告されています。MSI検査にてMSI-Hが認められた場合、BRAF遺伝子変異(V600E)検査を実施し、変異陽性であればリンチ症候群がほぼ否定できるため、確定診断に進まなくてよい患者を選択することが可能となり、大腸癌におけるリンチ症候群の診断の補助として有用です。
*PMS2遺伝子に変異があるリンチ症候群の大腸癌の一部では、BRAF遺伝子変異(V600E)が認められることが報告されており、注意が必要であることが、「遺伝性大腸癌診療ガイドライン」に記載されています。
切除不能進行再発大腸癌の治療前にRAS遺伝子変異及びBRAF遺伝子変異を同時に確認し、各変異に基づく治療選択を行うことは、非常に臨床的有用性が高いと考えられています。
大腸癌治療ガイドライン医師用では次のように記載されています。切除不能進行再発大腸癌に対する一次治療において、使用禁忌がない限り、BEV、抗EGFR抗体薬のいずれかを併用することが推奨される。RAS/BRAF野生型では、副作用プロファイル、併用レジメン、患者の嗜好、原発巣占居部位などを考慮してBEV、抗EGFR抗体薬いずれかを選択する。抗EGFR抗体薬の有効性はRAS/BRAF遺伝子型により異なることから、一次治療レジメン選択前にRASおよびBRAF遺伝子検査を実施することが望ましい。
Doublet: FOLFOX、CAPOX、SOX、FOLFIRI、S-1+IRI
Triplet: FOLFOXIRI
RAS遺伝子に変異が生じた場合、抗EGFR抗体薬を用いて上流のEGFRからのシグナルをブロックしても、下流にあるRAS遺伝子変異型から増殖シグナルが出続けるため、RAF/MEK/ERKなどのMAPKカスケードが次々に活性化され、細胞増殖が続きます。(図5)
したがって、RAS遺伝子変異型を持つ大腸癌に対しては上流のシグナル伝達をブロックする抗EGFR抗体薬の効果を期待することができません。
図5. RAS遺伝子変異と抗EGFR抗体薬
BRAF遺伝子は、RAS遺伝子よりも下流にあるため、RAS遺伝子が野生型であっても異常な細胞増殖を引き起こします。シグナル伝達経路の途中にあるBRAF遺伝子が変異型となった場合には、MEK/ERKなどが次々に活性化され増殖シグナルが出続けるため、細胞増殖が続きます。(図6)
BRAF遺伝子変異型は、RAS遺伝子とは非依存的に異常な細胞増殖を引き起こします。
図6. BRAF遺伝子変異
PCR-rSSO法(polymerase chain reaction-reverse sequence specific oligonucleotide)は増幅させたPCR増幅産物にビーズやナイロン膜などに固相された配列特異的プローブをハイブリダイズさせ、プローブに標識した蛍光物質などで蛍光を検出する方法です。
本試薬では、ビーズとフィコエリスリンの蛍光を測定し検出する方法を用いています。ビオチン標識プライマーで増幅させたPCR増幅産物と蛍光ビーズ上に固相された配列特異的プローブをハイブリダイズさせます。ビーズを洗浄し、蛍光標識タンパク質SA-PEを反応させると、PCR増幅産物は蛍光標識されます。このフィコエリスリンとビーズの蛍光をフローサイトメトリーの原理を応用したLuminexシステムの2種類のレーザーで同時に検出します。
ビオチン標識プライマーを用いて増幅
PCR増幅産物に配列特異的プローブをハイブリダイズさせ検出
xMAP® (Luminex®)システム測定原理
マイクロビーズをいろいろな濃度で組み合わせた2色の蛍光色素で染色し、蛍光色素の含有量を識別コードとして用います。
それぞれのビーズに個別の解析対象と結合する物質を固定させ、少量サンプルで多項目を同時に解析することができます。
ビーズには核酸類のほか、抗原・抗体のようなタンパク質なども固定でき、さまざまな実験に用いることができます。
xMAP® (Luminex®)法を用いたPCR-rSSO法
※Luminex®、xMAP®はLuminex社の商標です。
NCビーズの測定値がカットオフ値未満であること及び各増幅領域のPCビーズの測定値がそれぞれのカットオフ値以上であることを確認します。
NCビーズおよびPCビーズがそれぞれの要件を満たしている場合に、当該増幅領域について判定可能となります。「測定検体」のRAS遺伝子及びBRAF遺伝子変異検出ビーズ(変異検出ビーズ)測定値及び「野生型コントロールDNA溶液」の変異検出ビーズ測定値を用いて、次の計算式によりIndex値を算出します。
A:測定検体の変異検出ビーズ測定値
B:野生型コントロールDNA溶液の変異検出ビーズ測定値
C:測定検体のPCビーズ測定値
D:野生型コントロールDNA溶液のPCビーズ測定値
Index値について、各変異検出ビーズに設定されたカットオフ値を用いて変異検出ビーズの陽陰性を判定し、当該増幅領域の陽陰性を判定します。
<カットオフ値>
ビーズ名称 | カットオフ値 | |
---|---|---|
RAS遺伝子変異 | K:G12S、K:G12C、K:G12R、K:G12D、K:G12V、K:G12A、K:G13S、K:G13C、K:G13R、K:G13D、K:G13V、K:G13A、K:A59T、K:A59G、K:Q61K、K:Q61E、K:Q61L、K:Q61P、K:Q61R、K:Q61Ht、K:Q61Hc、K:K117Nc、K:K117Nt、K:A146T、 K:A146P、K:A146V、N:G12S、N:G12C、 N:G12R、N:G12D、N:G12V、N:G12A、N:G13S、N:G13C、N:G13R、N:G13D、N:G13V、N:G13A、N:A59T、N:A59G、N:Q61K、N:Q61E、N:Q61L、N:Q61P、N:Q61R、N:Q61Ht、N:Q61Hc、 N:K117Nt、N:A146T、N:A146P |
300 |
N:K117Nc | 960 | |
N:A146V | 800 | |
BRAF遺伝子変異 | B:V600E | 300 |
<遺伝子変異判定>
•RAS遺伝子変異判定
•BRAF遺伝子変異判定
詳細は添付文書をご参照ください。
MEBGEN RASKET™-B キット
測定原理 PCR-rSSO法
<判定対象の遺伝子変異と各増幅領域における陽性コントロールビーズ(PCビーズ)>
遺伝子 | エクソン | コドン | PCビーズ | 変異検出ビーズ | 塩基配列 | アミノ酸 |
---|---|---|---|---|---|---|
KRAS | 2 | 12 | K2PC | K:G12S | AGT | Ser(S) |
K:G12C | TGT | Cys(C) | ||||
K:G12R | CGT | Arg(R) | ||||
K:G12D | GAT | Asp(D) | ||||
K:G12V | GTT | Val(V) | ||||
K:G12A | GCT | Ala(A) | ||||
13 | K:G13S | AGC | Ser(S) | |||
K:G13C | TGC | Cys(C) | ||||
K:G13R | CGC | Arg(R) | ||||
K:G13D | GAC | Asp(D) | ||||
K:G13V | GTC | Val(V) | ||||
K:G13A | GCC | Ala(A) | ||||
3 | 59 | K3PC | K:A59T | ACA | Thr(T) | |
K:A59G | GGA | Gly(G) | ||||
61 | K:Q61K | AAA | Lys(K) | |||
K:Q61E | GAA | Glu(E) | ||||
K:Q61L | CTA | Leu(L) | ||||
K:Q61P | CCA | Pro(P) | ||||
K:Q61R | CGA | Arg(R) | ||||
K:Q61Ht | CAT | His(H) | ||||
K:Q61Hc | CAC | His(H) | ||||
4 | 117 | K117PC | K:K117Nc | AAC | Asn(N) | |
K:K117Nt | AAT | Asn(N) | ||||
146 | K146PC | K:A146T | ACA | Thr(T) | ||
K:A146P | CCA | Pro(P) | ||||
K:A146V | GTA | Val(V) | ||||
NRAS | 2 | 12 | N2PC | N:G12S | AGT | Ser(S) |
N:G12C | TGT | Cys(C) | ||||
N:G12R | CGT | Arg(R) | ||||
N:G12D | GAT | Asp(D) | ||||
N:G12V | GTT | Val(V) | ||||
N:G12A | GCT | Ala(A) | ||||
13 | N:G13S | AGT | Ser(S) | |||
N:G13C | TGT | Cys(C) | ||||
N:G13R | CGT | Arg(R) | ||||
N:G13D | GAT | Asp(D) | ||||
N:G13V | GTT | Val(V) | ||||
N:G13A | GCT | Ala(A) | ||||
3 | 59 | N3PC | N:A59T | ACT | Thr(T) | |
N:A59G | GGT | Gly(G) | ||||
61 | N:Q61K | AAA | Lys(K) | |||
N:Q61E | GAA | Glu(E) | ||||
N:Q61L | CTA | Leu(L) | ||||
N:Q61P | CCA | Pro(P) | ||||
N:Q61R | CGA | Arg(R) | ||||
N:Q61Ht | CAT | His(H) | ||||
N:Q61Hc | CAC | His(H) | ||||
4 | 117 | N117PC | N:K117Nc | AAC | Asn(N) | |
N:K117Nt | AAT | Asn(N) | ||||
146 | N146PC | N:A146T | ACC | Thr(T) | ||
N:A146P | CCC | Pro(P) | ||||
N:A146V | GTC | Val(V) | ||||
BRAF | 15 | 600 | B15PC | B:V600E | GAG | Glu(E) |
3つのガイドラインおよびガイダンスが大腸癌診療における国内の指針となっています。
「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス」
RAS変異検査およびBRAFV600E変異検査の推奨度について記載されています。
RAS変異検査は、切除不能進行再発大腸がん患者に対し抗EGFR抗体薬の適応判定を目的として一次治療開始前に実施することは強く推奨されており、切除可能進行再発大腸がん患者に対し再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法開始前に実施することは考慮するとされています。
また、BRAFV600E変異検査は、切除不能進行再発大腸がん患者に対し予後予測に応じた治療選択を目的として、一次治療開始前に実施することは強く推奨されており、切除可能進行再発大腸がん患者に対し再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法開始前に実施することは考慮するとされています。
「大腸癌治療ガイドライン 医師用」
切除不能進行再発大腸癌患者に対する一次治療の方針を決定する際のプロセスが記載されています。一次治療開始前にRAS/BRAF遺伝子検査を実施することにより、治療方針が決定するフローがあります。
また、薬物療法が適応可能と判断される患者に対しては、一次治療開始前にRAS(KRAS/NRAS)遺伝子検査、BRAFV600E遺伝子検査を実施すると記載されています。
「遺伝性大腸癌診療ガイドライン」
リンチ症候群の診断手順のフローが記載されています。リンチ症候群の大部分の大腸癌はMSI-Hを示しても、BRAFV600E遺伝子はほとんど検出されないため、BRAFV600E遺伝子変異の有無が両者の識別に利用されることがあると記載されています。
RAS(KRAS及びNRAS)遺伝子変異の検出においては、セツキシマブ(遺伝子組換え)又はパニツムマブ(遺伝子組換え)の結腸・直腸癌患者への適応判定の補助、大腸癌における化学療法の選択の補助として用いられます。抗EGFR抗体薬である、セツキシマブ又はパニツムマブのコンパニオン診断薬です。
また、BRAF遺伝子変異(V600E)の検出においては、大腸癌におけるリンチ症候群の診断の補助、大腸癌における化学療法の選択の補助、エンコラフェニブ及びセツキシマブ(遺伝子組換え)の併用療法、又はエンコラフェニブ、ビニメチニブ及びセツキシマブ(遺伝子組換え)の併用療法の結腸・直腸癌患者への適応判定の補助として用いられます。BRAF阻害薬及び抗EGFR抗体薬を用いたエンコラフェニブ及びセツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法(2剤併用療法)、又はBRAF阻害薬、MEK阻害薬及び抗EGFR抗体薬を用いたエンコラフェニブ、ビニメチニブ及びセツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法(3剤併用療法)のコンパニオン診断薬です。
KRAS遺伝子の24種類とNRAS遺伝子の24種類、BRAF遺伝子の1種類、計49種類のアミノ酸置換を伴う遺伝子変異が検出できます。
BRAF遺伝子変異の大腸癌では大半がRAS遺伝子変異を認めず、相互排他的であると言われています。研究論文※では共に変異陽性となる症例の報告がありますが、頻度は不明で、少数と考えられています。
※Cancer Res (2005) 65: 6063–6069、Clin Cancer Res (2012) 18: 890–900.
<機器>
Luminex® 100/200™システム
クリーンベンチ
サーマルサイクラー
プレートカバー
プレートミキサー又はボルテックスミキサー
プレート遠心機
洗浄機
紫外線照射箱 など
測定データ解析時には下記のソフトウェアがあると便利です。
Luminex®解析ソフトウェアUniMAG™ v2(v2.2以降)
<器材>
DNA抽出用試薬
滅菌水又はDNA溶解液(1 mmol/L Tris-HCl(pH8.0)、0.1 mmol/L EDTA)
マイクロピペット、フィルター付きチップ
増幅反応用PCRプレート
プレートシール
ディスペンサートレイ など
必要な機器や器材などの詳細につきましては当社までお問い合わせください。
添付文書をよく読んでからお使いください。
<検体>
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片から抽出したDNAを用いることを推奨します。詳しくは日本臨床腫瘍学会の「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス」を参照してください。
遺伝子検査に適したDNA抽出試薬を用いて行ってください。本品での測定にはDNA溶液を5 µL使用します。DNA濃度は、10~20 ng/µLを推奨します。
抽出したDNAを保管する場合は、DNaseなどのコンタミネーションを避け、-20°C以下で凍結して保管してください。
<試薬>
異なる製品ロットの試薬を混合したり、組み合わせたりして使用しないでください。また、同一の製品ロットであっても試薬を注ぎ足すことはしないでください。
マスターミックスは-15~-35°Cで保存できますが、凍結融解回数は5回以内としてください。Taq DNAポリメラーゼ及びウラシルDNAグリコシラーゼは室温に放置すると失活する可能性がありますので、使用後は-15~-35°Cで保存してください。
最小検出感度は、150コピー/反応(2本鎖DNAとして)です。ヒトゲノムDNAを含まないサンプルの結果については、Index値の信頼性を保証致しません。
GS-D0471 MEBGEN RASKET™-B キット(冷凍品)
GS-D0472 MEBGEN RASKET™-B キット(冷蔵品)
GS-D0475 RASKET™-B Control (ALL)
GS-D0476 RASKET™-B Control (DAILY)
9725 Luminex® 100/200™ システム
9725-130 Luminex®解析ソフトウェア UniMAG™ v2.3
最終更新日:2022年12月