自己免疫性水疱症の検査

自己免疫性水疱症の検査

株式会社 医学生物学研究所

表皮組織の構造と自己免疫性水疱症の分類

表皮組織の構造と自己免疫性水疱症の分類
表皮組織の構造

表皮 (Epidermis) は,内 (真皮) 側から基底層,有棘層,顆粒層,角層の4層構造からなり,その大部分は表皮細胞 (Keratinocyte,角化細胞) によって構成されている組織です.隣接した表皮細胞の間にはデスモソームや密着結合など,複数の細胞間接着構造が存在し,これらの構造によって表皮細胞が互いに接着しています.デスモソームは,デスモプラキンなどの細胞内成分と,デスモグレイン (Dsg1, Dsg3) やデスモコリンなどの細胞膜タンパク質で構成されています.これらの膜タンパク質は,隣接細胞間においてカルシウムイオン依存的に二量体を形成することで,細胞間接着を行っています.

また、一層の表皮細胞からなる基底層は,基底膜部 (Basement membrane zone) を介して真皮とも結合しています.基底層の細胞にはヘミデスモソームと呼ばれる,デスモソームを半分に切ったような構造が存在し,基底板との接着に重要な役割を果たしています.ヘミデスモソームは,デスモソームとは異なり,膜タンパク質であるBP180 (タイプXVIIコラーゲン,BPAG2) やインテグリンα6β4,細胞内タンパク質であるBP230 (BPAG1) やプレクチンなどで構成されています.基底膜部は,基底板 (Lamina densa) と透明帯 (Lamina lucida) に分けることができますが,ヘミデスモソームは基底板と,基底細胞とを直接連結することで表皮と真皮との結合を維持しています.透明帯にはラミニン332 (ラミニン5) やヘパラン硫酸プロテオグリカン,フィブロネクチンなどが含まれています.基底板の主な構成成分はタイプIVコラーゲンで,ラミニン332は透明帯と基底板の間に位置し,また,インテグリンα6β4のリガンドとして基底細胞との連結にも関わっています.さらに,基底板の直下には,タイプVIIコラーゲンで構成される係留線維 (Anchoring fibril) が存在し,真皮と基底板との結合を強固にしています.

水疱症は,このような表皮細胞間や表皮と真皮の間の接着が,先天的あるいは後天的な理由により障害されることで水疱やびらんが形成される疾患の総称です (ウイルス性・細菌性や,凍傷・火傷による水疱などは除きます) (1-3) .ここでは,後天的な水疱症の代表例として,表皮のタンパク質に対する自己抗体が原因で発症する自己免疫性水疱症について,その臨床的特徴や発症機序,検査方法を解説します.


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