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第25回「自己抗体と自己免疫」シンポジウム

疾患特異的自己抗体研究の最前線
Cutting edge research topics on disease-specific autoantibodies

第25回「自己抗体と自己免疫」シンポジウムは終了いたしました。
多数のご参加誠にありがとうございました。
お問い合わせ: koutaisympo@mbl.co.jp
開催日時 2018年1月20日(土)14:00〜19:10 (開場 13:30)
会場 丸ビルホール(丸ビル7階)(東京都千代田区丸の内2-4-1)
後援 株式会社 医学生物学研究所
入場 無料
お問い合わせ koutaisympo@mbl.co.jp
開催日:(2018.1.20 東京)
世話人

渥美 達也 (北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室)
桑名 正隆 (日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野)
藤本 学 (筑波大学医学医療系 皮膚科学)

申し込み

参加ご希望の方はFAX用紙にてお申し込みください。
→ パンフレット・FAX用紙のダウンロード(PDF:3.0 MB)

Opening remark (14:00 - 14:05)

渥美 達也 (北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室)

講演 (14:05 - 16:55)
  1. 全身性エリテマトーデスにおける中枢神経障害と自己抗体
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    座長阿部 雅紀
    (日本大学医学部内科学系 腎臓高血圧内分泌内科学分野)
    演者藤井 隆夫
    (和歌山県立医科大学医学部 リウマチ・膠原病科学講座)


  2. 免疫介在性壊死性ミオパチーの診断
    [抄録を見る▼]

    座長武井 正美
    (日本大学医学部内科学系 血液膠原病内科学分野)
    演者鈴木 重明
    (慶應義塾大学医学部 神経内科)


  3. 抗リン脂質抗体症候群における抗C1q抗体の病態意義
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    座長長谷川 稔
    (福井大学医学部 皮膚科学)
    演者奥 健志
    (北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室)


  4. ANCAの種類と臨床分類・臨床症状
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    座長杉山 英二
    (広島大学病院 リウマチ・膠原病科)
    演者佐田 憲映
    (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)

特別講演(16:55 - 17:55)
Interstitial pneumonia with autoimmune features
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座長Masataka Kuwana
(Nippon Medical School Graduate School of Medicine)
演者Aryeh Fischer
(Department of Medicine, Divisions of Rheumatology,
                 Pulmonary Sciences and Critical Care Medicine,
                 University of Colorado, CO, USA)

Closing remark(17:55 - 18:00)

藤本 学 (筑波大学医学医療系 皮膚科学)

閉会後、ささやかながら情報交換会の場をもうけさせていただきます(18:10-19:10)

1. 全身性エリテマトーデスにおける中枢神経障害と自己抗体

藤井 隆夫
和歌山県立医科大学医学部 リウマチ・膠原病科学講座

 Systemic Lupus Erythematosus(SLE)患者における精神神経症状(neuropsychiatric SLE: NPSLE)は膠原病の臓器病変のなかでも重篤なもののひとつである.その発症機序は明らかでないが,びまん性NPSLEについては抗N-methyl-D-aspartate(NMDA)receptor subunit 2(NR2) 抗体が臨床的意義を有することが示されている(PLoS One,2008;3:e3347).抗NR2抗体は抗DNA抗体と交差反応を示し,びまん性NPSLE患者髄液(cerebrospinal fluid, CSF)中に高頻度に見いだされる(Arthritis Res Ther, 2014;16:R77).また動物モデルでは,何らかの機序で血液脳関門(Blood brain barrier,BBB)が破壊され透過性が亢進することで血清中抗NR2抗体が髄腔内に流入し,海馬の神経細胞を傷害することが確認されている(Immunity,2004;21:179).われわれのNPSLEコホートでも,血清中の抗NR2抗体価とBBBの透過性(=albumin quotient, Qalb)とは相関がなかったが,CSF-抗NR2抗体価とQalbとは正の相関を示した.またCSF-抗NR2抗体陽性症例は陰性症例に比しCSF中IL-6濃度が高濃度であったことから直接的な病原性を有している可能性が高い.
 一方われわれは以前よりCSF中の抗U1ribonucleoprotein(U1RNP)抗体の臨床的意義の研究を続けてきた.CSF-抗U1RNP抗体陽性は,副腎皮質ステロイド増量や免疫抑制薬の追加を要したprimary NPSLE患者で高頻度に陽性となり(A&R, 2010;62:3730),CSF中のIFN-α上昇と関連すること(Lupus, 2014;23:635)も判明した.またCSF-抗U1RNP抗体の有無では差がなかったCSF-IL-6は,CSF-抗NR2抗体単独陽性例に比し,CSF-抗NR2/U1RNP抗体両者陽性群でより高値となっていた.すなわちCSF-抗U1RNP抗体は間接的にCSF-IL-6上昇に寄与する可能性がある.この機序については現在検討中であるが,CSF-抗U1RNP抗体がCSF-IL-8やCXCL9(Monokine induced by gamma interferon, MIG)などのケモカインを活性化し,BBBの透過性を亢進させて抗NR2抗体の髄腔内への流入を促進する可能性を考えている.
 なお古くから抗リボゾームP抗体とNPSLEとの関連も報告されている(Ann Rheum Dis ,2011;70:1726).われわれのコホートではCSF-抗リボゾームP抗体陽性率がきわめて低く(8%)十分な検討ができなかったが,同抗体が海馬のneuronal surface P antigen (NSPA)に結合してNPSLE病態に関与するとする報告(A&R,2015;67:1598)も存在する.
 本講演ではNPSLEに関連し,特に臨床的意義の高い自己抗体を中心にディスカッションしたい.


2. 免疫介在性壊死性ミオパチーの診断

鈴木 重明
慶應義塾大学医学部 神経内科

 炎症性筋疾患(筋炎)はさまざまな病態機序を背景にもつ疾患のあつまりである.筋炎の病型には臨床症状,筋病理,自己抗体の3つの側面から個別に分類されており,立場の違いにより疾患概念が異なる場合がある.
 筋病理における多発筋炎は特徴的な所見を呈する場合にのみ定義され,多発筋炎と皮膚筋炎は別々の病態機序を背景とした異なる疾患である.一方,臨床診断では多発筋炎・皮膚筋炎として一連のスペクトラムとして扱われている.筋炎に対する共通の理解には臨床症状,筋病理,自己抗体のいずれの分類においても,ある程度共通のコンセンサスが必要である.
 免疫介在性壊死性ミオパチー(immune-mediated necrotizing myopathy, IMNM)は筋病理所見から生まれた病型である.筋病理所見では「免疫介在性」の所見に乏しいIMNMを自己免疫疾患とする根拠は次の2点が挙げられる.
 第1の理由は患者血清中に特異的な自己抗体が検出されることである.IMNMに関連する代表的な自己抗体はシグナル認識粒子(signal recognition particle, SRP)に対する自己抗体と3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A reductase(HMGCR)に対する自己抗体である.ただし,これらの自己抗体がIMNMの病態に直接関連した病因論的自己抗体と証明されているわけではない.現時点では,IMNMの疾患標識マーカーとして自己抗体を考えるのが適切である.
 国立精神・神経医療研究センター神経研究所と慶應義塾大学との共同研究である「筋炎の統合的診断研究」では,筋病理診断を基にした800症例を超える炎症性筋疾患のデータベースがある.この中でIMNMの40%で抗SRP抗体,25%で抗HMGCR抗体が検出された.わずかな例外を除き,両者が同一の患者血清中に存在することはなく,互いに独立した血清マーカーである.
 以前,アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)に対する自己抗体もIMNMに関する自己抗体の1つに挙げられていた.近年,抗ARS抗体症候群は独自の筋病理所見を呈することが指摘されるようになった.抗ARS抗体はIMNMに関連した自己抗体ではなく,筋病理診断においても,独自の病型と位置づけられる方向に向かっている.
 IMNMが自己免疫疾患である第2の理由はヒト白血病抗原(human leukocyte antigen, HLA)との関連である.我々はIMNMと診断した162例を対象として,HLA-DRB1遺伝子のDNAタイピングを行った.その結果,DRB1*08:03とDRB1*11:01が健常者に比し日本人IMNM患者で有意に多いことを明らかにした.特定のHLAとの関連はIMNMが自己免疫疾患であることを強く示唆している.
 筋病理所見から発生したIMNMではあるが,臨床では自己抗体測定が極めて重要である.


3. 抗リン脂質抗体症候群における抗C1q 抗体の病態意義

奥 健志
北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室

 抗リン脂質抗体症候群(APS)は病原性自己抗体である抗リン脂質抗体(APL)の存在下で出現する動静脈血栓症や習慣流産などの妊娠合併症である.APSは代表的な自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)の類縁疾患で病態や遺伝子異常の一部を共有し,両疾患の合併は30-40%である.
 APSの研究はこれまでAPLの病原性に特異的にフォーカスがあてられてきた.一方,我々はAPS患者に高率に補体活性化が合併することを報告し,感染症など生体ストレスを契機に炎症及び血栓傾向が異常増幅されると提唱した.APSの補体活性化機序はAPLにより産生された免疫複合体が発症機序と考えられてきたが,我々の患者データからは①循環血中の免疫複合体産生が軽度②APLはIgG2型が主で補体活性化能が乏しいこと等から否定的と考えられた.そこで原発性APS患者42例を検討したところ,高率に補体第1成分(C1q)に対する自己抗体が陽性であることが判明した(抗C1q抗体(aC1q);原発性APS 15/42例 vs. 非SLE膠原病対照群 1/40例).aC1qはSLEでは補体活性化と病態発症に関与すると報告されており,C1qのcollagen-like lesionに結合する自己抗体は補体古典経路を活性化させる.一方,aC1qの存在や抗体価はAPSの各症状や血液データ,各APL価やAPLスコアと相関しなかった.ただし,再発を繰り返す例で有意に高発現し(再発例vs.非再発例 9/10 vs 3/20, p=0.01),抗体価は高値だった(再発例 vs.非再発例32.9+/- 6.95 U/ml vs. 10.9+/-1.89 U/ml, p=0.01).aC1qが存在することにより,補体系の活性化がup-regulateされ感染症など追加的な補体活性化が惹起された場合に2次予防療法の抑制効果を超えてAPS症状が発症すると考えられた.
 一方,妊娠も典型的な補体活性化のトリガーで,亢進した補体活性化が胎盤炎症を来たし流産を惹起するとされ,産科的APSは血栓性APSより補体活性化が病態発症に強く関与する可能性がある.そこで,名古屋市立大学大学院医学研究科産科婦人科のご協力を得て,産科的APS患者27名とAPL陰性だが自己免疫機序の流産を推定された患者群138名でaC1qを測定したところ,それぞれ8例(30%),47例(34%)で陽性化し,健常女性(2/30:7%)と比べ有為に高かった.次にaC1qを用いたマウスモデルの検討を行った.マウスモノクローナルaC1qであるJL-1を用い,balb-cマウスにwbcal-1(モノクローナルAPL),対照抗体,抗補体活性化(C5a受容体)抗体などを投与し,妊娠第16日に胎仔数,胎盤重量,血中C1q,C3aを評価した.JL-1投与例では胎仔数・胎仔重量,胎盤重量の有意な低下を認め,その効果は抗C5a受容体抗体により相殺された.また,JL-1投与群で,血清C1q値は対照群との間で変化を認めなかったが,血清C3a値は有意に上昇し,その効果は抗C5a抗体により相殺された.産科的APS及び原因不明流産の中にaC1qによる補体活性化が原因となる一群がある可能性が考えられる.
 aC1qによる補体活性化はAPSの難治症例(再発症例)や,非APSも含めた不育症など流産を繰り返す症例において治療ターゲットとなりえる. 


4. ANCAの種類と臨床分類・臨床症状

佐田 憲映
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学

 抗好中球細胞質抗体(ANCA)は免疫複合体の沈着が乏しい中小型血管炎の患者集団から発見された自己抗体であり,チャペルヒル分類2012では,免疫複合体型中小型血管炎と対比する形でANCA関連血管炎(AAV)というカテゴリーが設けられるほどに,診断・分類に重要な自己抗体として認識されている.ANCAは蛍光抗体法での特徴からp-ANCAとc-ANCAに分類されるが,好中球に含まれる顆粒のうちプロテイナーゼ3(PR3)がc-ANCAの対応抗原であり,ミエロぺルオキシダーゼ(MPO)など,それ以外の顆粒成分がp-ANCAの対応抗原である.現在では臨床の現場では蛍光抗体法よりも,種々の方法でMPO-ANCA/PR3-ANCAを測定し診断に利用することが多い.AAV患者における,MPO-ANCAおよびPR3-ANCAの陽性頻度は,わが国と欧米では大きく異なり,わが国ではMPO-ANCAの陽性頻度が圧倒的に高く,ANCA陽性患者の全体の約9割がMPO-ANCA陽性であり,PR3-ANCA陽性は10%程度である.ANCAの頻度の欧米との違いは,近年のゲノムワイド研究からも遺伝的背景の影響を受けていることが明らかにされている.
 臨床的にAAVは,顕微鏡的多発血管炎(MPA),多発血管炎性肉芽腫症(GPA),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の3疾患に分類される.従来,MPAではMPO-ANCA,GPAではPR3-ANCA陽性患者が多く,EGPAでは約半数の患者でANCAが陽性となりそのほとんどがMPO-ANCAであり,ANCAの種類は疾患分類に比較的特異なものであると認識されてきた.しかし,最近,わが国ではGPA患者の半数でMPO-ANCA陽性となることが明らかとなった.特にMPO-ANCA陽性患者の上気道症状としては,AAV性中耳炎(OMAAV)が注目されている.OMAAVは,PR3-ANCA陽性のGPAでみられるような副鼻腔炎や眼窩の腫瘤形成とは異なるようで,しばしば治療抵抗性であり,肥厚性硬膜炎や顔面神経麻痺などの重篤な症状を合併することが多いとされる.
 間質性肺障害の合併が多いのもわが国のAAVの特徴である.MPA患者の約半数の患者で合併するが,欧米のAAV患者の間質性肺障害の頻度が数%程度であることと比べると非常に多いことがわかる.これらの間質性肺障害症例のANCAはほとんどがMPO-ANCA陽性であり,因果関係は未だ明らかではないが,少なくともMPO-ANCA関連間質性肺障害と呼ぶべき病態が存在することは明らかである.
 このように,ANCAの種類,臨床分類,臨床症状の組み合わせからいくつかの特徴的な集団が明らかとなってきている.


<SPECIAL PRESENTATION>
Interstitial pneumonia with autoimmune features

Aryeh Fischer
Department of Medicine, Divisions of Rheumatology,
Pulmonary Sciences and Critical Care Medicine, University of Colorado, CO, USA

 Interstitial lung disease (ILD) often arises within the context of an underlying connective tissue disease (CTD) and is often associated with significant morbidity and mortality. The CTDs are a group of systemic autoimmune disorders with significant clinical heterogeneity characterized by immune-mediated organ dysfunction and the lung is a frequent target. All CTD patients are at risk for developing ILD, and those with systemic sclerosis [SSc], poly-/dermatomyositis [PM/DM], and rheumatoid arthritis (RA) are at particularly high risk. ILD may develop at any point in the natural history of CTD, is most frequently identified within the context of an established CTD, and may also be the first clinically apparent manifestation of occult CTD. Furthermore, some individuals may have “interstitial pneumonia with autoimmune features” (IPAF), defined by the presence of ILD and features suggestive of (but not diagnostic for) underlying CTD. Determining whether a patient has a diagnosis of CTD-associated ILD (CTD-ILD) is important, as this knowledge may impact treatment decisions, can guide surveillance for other concomitant clinical features, and can help with prognostication.
 Despite undergoing thorough evaluation, it is not uncommon to encounter patients with presumed idiopathic interstitial pneumonia (IIP) that have certain, often subtle, features suggesting an underlying autoimmune process and yet do not meet established diagnostic criteria for any of the characterizable CTDs. Although the patient may have an “autoimmune flavor”, in the absence of specific characterizable features of a defined CTD, the patient is considered to have IIP by default. The European Respiratory Society and American Thoracic Society Task Force on Undifferentiated Forms of CTD-ILD proposed that the name, “interstitial pneumonia with autoimmune features” (IPAF), be used to identify such patients. The classification of IPAF requires the a priori exclusion of alternative etiologies for ILD along with the presence of at least one feature from at least two of three primary domains: clinical, serologic, and intra-thoracic morphology (Table). Future research studies of IPAF are needed to refine the diagnostic criteria, determine its natural history, and identify the clinical implications of such a classification.