ホーム > 臨床検査薬・機器

臨床検査薬・機器

臨床検査薬

自己免疫疾患検査

IgG4関連疾患診断のコツと治療のポイント

監修:金沢大学附属病院
リウマチ・膠原病内科
科長 川野 充弘 先生

IgG4関連疾患とは

全身のあらゆる臓器にびまん性もしくは限局性に、腫大、腫瘤、結節もしくは肥厚を呈する全身疾患です。
その疾患概念と特徴は次の通りです。

 1.全身性の疾患であること。
 2.びまん性もしくは限局性に、腫大、腫瘤、結節もしくは肥厚を呈する疾患であること。
  (孤発性もしくは多発性)
 3.血清IgG4値が高値であること。(135 mg/dL以上)
 4.組織にはIgG4陽性の形質細胞とリンパ球の著明な浸潤を認めること。
 5.ステロイドに対する反応が非常に良好であること。

IgG4関連疾患の診断にはその特徴をよく理解し、検査数値を正しく読み解き診断することが重要です。


診断のコツ

IgG4関連疾患の診断において、血清IgG4値の検査は包括診断基準や全ての臓器別診断基準にて用いられているとおり、大変重要なバイオマーカーです。
しかし、診断に際してはいくつかの注意が必要です。
診断のコツを理解し、正しく診断できるようにしましょう。

受診のきっかけ
1. 涙腺の腫脹による容貌の変化
2. 口渇感や顎下部の腫瘤の触知
3. 全身倦怠感、黄疸、軽度の腹痛、咳嗽、腎障害などの臨床症状
4. 超音波検査による臓器腫大の発見
5. 臨床検査結果異常
6. 他の疾患との鑑別診断の過程
検査
はじめにどの様な検査を実施するか
1. 血清IgG量: 上昇を認める
2. 血清IgE量: 上昇を認める 
3. 血清IgG4量: 135 mg/dL以上
4. CRP: 正常または微増
5. 補体: 低補体血症を認める
6. 好酸球数: 増多を認める
7. その他対象臓器別の画像検査

病理組織学的検査所見
1. 著明なリンパ球・形質細胞浸潤 
2. 花筵状線維化 
3. 閉塞性静脈炎
4. IgG4陽性/IgG陽性細胞数が40%以上
5. 強拡1視野のIgG4陽性細胞数10以上
診断に際し注意すべき疾患

◎ 除外すべき疾患
 ・悪性腫瘍
 ・類縁疾患

◎ 組織中にIgG4陽性細胞が増加する疾患

◎ 高IgG4血症を呈する疾患

IgG4関連疾患74例の病変の頻度

IgG4関連疾患74例について、病変の出現した臓器別の頻度は、上記のとおりでした。
診断のポイント

IgG4関連疾患の特徴をよく理解し、特徴から外れる場合、「違うのでは?」と疑うことが大事
IgG4関連疾患は比較的高齢者に発症しやすい疾患です。若年であったり、他の臓器に病変が認められない場合や、CRPが高値陽性の場合など、一般的にIgG4関連疾患の特徴から外れる場合は、違うと疑ってみることが大切です。


組織中にIgG4陽性形質細胞浸潤を認めても、直ちにIgG4関連疾患とは診断しない
IgG4陽性形質細胞浸潤は、IgG4関連疾患に特異的な所見ではありません。特に多中心性キャッスルマン病やANCA関連血管炎(特に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)は、類似所見が多く、慎重に鑑別する必要があります。他の臓器にもIgG4関連疾患に特徴的な所見がないか確認します。


血清IgG4高値に振り回されない
多中心性キャッスルマン病、ANCA関連血管炎、関節リウマチなどでは、血清中のIgG4濃度は135 mg/dL以上の高値になる場合があります。血清IgG4値の疾患特性は必ずしも高くない点に注意する必要があります。

類縁疾患
・シェーグレン症候群
・原発性硬化性胆管炎
・多中心性キャッスルマン病
・特発性後腹膜線維症
・多発血管炎性肉芽腫症
・サルコイドーシス
・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

組織中にIgG4陽性細胞が増加する疾患
炎症性疾患
・ANCA関連血管炎
・炎症性腸疾患
・関節リウマチ
・慢性副鼻腔炎
・Rosai-Dorfman病
・脾臓硬化性血管腫様結節
・皮膚形質細胞増多症
・自己免疫性萎縮性胃炎
・一部の悪性リンパ腫
・悪性腫瘍組織

高IgG4血症を呈する疾患
・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症  
・多中心性キャッスルマン病
・関節リウマチ

治療のポイント
治療の第一選択肢はステロイド治療である。

IgG4関連疾患の治療の第一選択肢はステロイド治療です。初期使用量はプレドニゾロン0.5〜0.6 mg/kg/dayにて治療を開始します。初期治療にて効果が認められない場合は、診断を見直すことが必要です。



腎臓など疾患が進行した場合回復が難しい不可逆的病変については、積極的に治療する。

腎機能がすでに低下した症例でも、ステロイド治療開始後、最初の1か月で腎機能は著明に回復しますが、多くの症例で腎機能は正常化しません。そこで、診断時に腎機能がすでに低下している症例では、積極的なステロイド療法が望まれます。



腫脹が顎下腺だけに限局している場合や、無症状のリンパ節腫脹などの症例については、積極的な治療をしないこともある。

ミクリッツ病で腫脹が顎下腺だけに限局している場合や、無症状のリンパ節腫脹などの症例の場合は、無治療で経過観察します。しかし、線維化が進むと腺分泌機能の回復が難しくなるので、口渇やドライアイなどの症状がみられた場合はステロイドによる治療を実施します。IgG4関連疾患の特徴である空間的多発性、時間的多発性を考慮し、慎重に経過観察を行い、他の臓器病変の合併に注意します。



血清IgG4値を治療のターゲットとしない。

血清IgG4値は必ずしも、治療効果と連動しない場合があるため、血清IgG4値だけで治療結果の評価はすべきではありません。定期的な画像所見や臨床所見など、総合的に評価します。



経過観察では、他の臓器病変の合併に注意する。

IgG4関連疾患の経過観察では、他の臓器の新たな臓器障害の合併症に注意します。特にIgG4関連腎臓病や自己免疫性膵炎、IgG4関連肺疾患、後腹膜線維症/動脈周囲炎などは頻度も高く、定期的にフォローすることが必要です。




◎ 広い測定範囲を保持しています。再現性に優れています。
◎ IgG4のカットオフ値135 mg/dLが設定された臨床研究ではThe Binding Site社の試薬が用いられています。