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自己免疫疾患検査

自己免疫性膵炎と血清IgG4

監修:信州大学 総合健康安全センター
センタ―長 川 茂幸 先生

IgGサブクラスIgG4の測定は 自己免疫性膵炎の診断に有用です

自己免疫性膵炎は高齢、男性に好発する特異な膵炎で、閉塞性黄疸、膵腫大、膵管の狭細像など膵癌と同様の臨床症状を認め、鑑別が臨床的に重要です。血中免疫グロブリンの上昇、病変組織にリンパ球・形質細胞の著明な浸潤、ステロイド治療に対して良好な反応性を示し、発症に自己免疫学的機序が想定されています。また自己免疫性膵炎症例では約70%に糖尿病の合併が見られるとの報告があります。
自己免疫性膵炎には多彩な膵外病変が合併し、IgG4陽性形質細胞浸潤など共通の病態が背景に存在すると考えられ、これらを包括する新しい疾患概念、IgG4関連疾患が提唱されました。

血清中のIgG4値はIgG4関連疾患包括診断基準、自己免疫性膵炎の診断基準に採用されています。

<自己免疫性膵炎の診断基準>

以下のDefinite、Probable、Possibleを対象とする。

A.診断項目
1.膵腫大:
  a.びまん性腫大(diffuse)
  b.限局性腫大(segmental/focal)
2.主膵管の不整狭細像:ERP
3.血清学的所見
  高IgG4血症(135mg/dL以上)
4.病理所見:以下の①~④の所見のうち、
  a.3つ以上を認める。
  b.2つを認める。
   ①高度のリンパ球、形質細胞の浸潤と、線維化
   ②強拡1視野当たり10個を超えるIgG4陽性形質細胞浸潤
   ③花筵状線維化(storiform fibrosis)
   ④閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)
5.膵外病変:硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎、後腹膜線維症
  a.臨床的病変
    臨床所見及び画像所見において、膵外胆管の硬化性胆管炎、
    硬化性涙腺炎・唾液腺炎(ミクリッツ(Mikulicz)病)あるいは後腹膜線維症と診断できる。
  b.病理学的病変
    硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎、後腹膜線維症の特徴的な病理所見を認める。
オプション:ステロイド治療の効果
専門施設においては、膵癌や胆管癌を除外後に、ステロイドによる治療効果を診断項目に含むこともできる。悪性疾患の鑑別が難しい場合は超音波内視鏡下穿刺吸引(EUS-FNA)細胞診まで行っておくことが望ましいが、病理学的な悪性腫瘍の除外診断なく、ステロイド投与による安易な治療的診断は避けるべきである。

 

<診断のカテゴリー>
Definite:
①びまん型:1a+(3、4b、5a、5bのうち1つ以上)を満たすもの
②限局型:1b+2+(3、4b、5a、5bのうち2つ以上)を満たすもの
       1b+2+(3、4b、5a、5bのうち1つ)+オプションを満たすもの
③病理組織学的確診:4aを満たすもの

Probable:Possibleの基準+オプションを満たすもの
Possible*:自己免疫性膵炎を示唆する限局性膵腫大を呈する例でERP 像が得られなかった場合、
        (EUS-FNAで膵癌を除外)+(3、4b、5a、5bの1つ以上)を満たすもの

*我が国では極めてまれな2型の可能性もある。


厚生労働省ホームページ 2018年6月時点


自己免疫性膵炎の膵画像・病理組織像
自己免疫性膵炎の膵画像・病理組織像


◎ 広い測定範囲を保持しています。再現性に優れています。
◎ IgG4のカットオフ値135 mg/dLが設定された臨床研究ではThe Binding Site社の試薬が用いられています。