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間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

細胞の構造と細胞周期

蛍光抗体法による抗核抗体検出の利点は、その染色像から対応抗原の局在を知ることができることにあります。染色像から対応抗原の局在を知るためには、細胞の構造と、細胞周期に伴う抗原の発現および局在の変化について理解しておく必要があります。

細胞の構造

真核細胞 (動物) の構造は、図1のようなものであり、それぞれの核分画には表1に示すような抗原が存在しています。また、細胞全体は細胞膜で覆われ、核は核膜で細胞質と隔てられています。

クロマチン分画

クロマチンを構成するDNA、ヒストン、セントロメア構成タンパク質、ポリADPリボースおよびDNAの複製に関する酵素 (Scl-70=トポイソメラーゼ I) 等が存在します。

核質

DNAやRNAの合成に関与するタンパク質 (PCNA=DNAポリメラーゼδ補助因子、SS-B/La) や、mRNAの成熟に関与するタンパク質 (U1RNP、Sm) 等が存在します。

核小体

核小体はリボソームの合成工場としての役割を果たしており、リボソームを構成するRNAや、これらを合成する酵素 (RNAポリメラーゼ I)、リボソームの組み立てを触媒するリボ核タンパク質 (U3RNP)等が存在します。
核小体には数本の染色体からDNAの大きなループがのびだしてリボソームRNA遺伝子が転写されており、このリボソームRNA遺伝子のクラスターは核小体形成領域 (Nucleolus organizer region=NOR) と呼ばれています。

細胞質

タンパク質の合成工場としてのリボソームや、タンパク質合成に関与する酵素、エネルギー生産工場としてのミトコンドリア、タンパク質の糖鎖修飾や小胞輸送に関与するゴルジ体、細胞分裂に関与する中心体、細胞の形態を維持する細胞骨格等が存在します。ミトコンドリアは細胞内の微小管に沿って存在しており、蛍光抗体法では、細胞質内に線維に沿ったように細かな顆粒状の蛍光として観察されます。



表1 各種自己抗体の対応抗原と関連疾患

抗核抗体 局在 対応抗原 関連疾患
抗ssDNA抗体
抗dsDNA抗体
抗ポリADPリボース抗体
抗Scl-70抗体
抗セントロメア抗体
抗ヒストン抗体
クロマチン 1本鎖DNA (ssDNA)
2本鎖DNA (dsDNA)
ポリADPリボース
DNAトポイソメラーゼ I
セントロメア
ヒストン
SLE等
SLE
SLE
SSc
CREST症候群
薬剤誘発ループス
抗U1RNP抗体
抗Sm抗体
抗U2RNP抗体
抗SS-A/Ro抗体
抗SS-B/La抗体
抗PCNA抗体
抗Ku抗体
核質 U1RNP
U1, U2, U4/U6, U5 RNP
U2RNP
hY1〜hY5 RNP
RNAポリメラーゼ III転写終結因子
DNAポリメラーゼδ補助因子
DNA依存性タンパク質キナーゼ補助因子
MCTD
SLE
Overlap症候群
SS等
SS
SLE
Overlap症候群
抗U3RNP抗体
抗7-2(Th)RNP抗体
抗RNAポリメラーゼ I抗体
抗PM-Scl抗体
抗NOR-90抗体
核小体 U3RNP (Fibrillarin)
RNaseP, RNaseMRP
RNAポリメラーゼ I
11種タンパク質複合体 (20-110kD)
核小体NOR (hUBF)*
SSc
SSc
SSc
Overlap症候群
SSc

抗細胞質抗体 局在 対応抗原 関連疾患
抗Jo-1抗体
抗リボソーム抗体
抗ミトコンドリア抗体
抗SS-A/Ro抗体
その他 (抗アクチン抗体等)
細胞質 ヒスチジルtRNA合成酵素
60Sリボソームサブユニット
ミトコンドリア
hY1〜hY5 RNP
PM/DM
SLE
PBC
SS等

*human Upstream Binding Factor

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SLE: 全身性エリテマトーデス, SSc: 全身性強皮症, MCTD: 混合性結合組織病, SS: シェーグレン症候群, 
PM/DM: 多発性筋炎/皮膚筋炎, RA: 関節リウマチ, PBC: 原発性胆汁性肝硬変, AIH: 自己免疫性肝炎