MBL 株式会社医学生物学研究所 臨床検査薬

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間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

抗核抗体の染色像

非クロマチン関連タンパク質を認識する自己抗体

DNAの遺伝情報はmRNAに転写されますが、RNAポリメラーゼIIによる最初の転写産物はイントロンを含んだ前駆体mRNA (heterogeneous nuclear RNA, hnRNA) です。U1RNAなどの核内低分子RNA (small nuclear RNA, snRNA) は、hnRNAからイントロンを除去しエクソンをつなぎあわせる過程 (スプライシング) に関与しています。
hnRNAやsnRNAはタンパク質と複合体の形で存在しており、RNAに結合するタンパク質はRNP (ribonucleoprotein) と呼ばれています。

抗U1RNP抗体


photo 21

染色型 Speckled (Coarse) 型
やや大きめの顆粒のSpeckled型を示す。分裂期クロマチンは染色されない。
対応抗原 U1RNA結合タンパク質
RNP-68kD、RNP-A (34kD)、RNP-C (23kD) がエピトープとなる。
確認法 DID法ELISA法、WB法、免疫沈降法、CLEIA法
臨床的意義 MCTDの疾患標識抗体
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 (2005年改訂版) によるMCTD診断基準の1項目に含まれる。SLE・SScなどにも出現する。
文献 15、16

抗Sm抗体


photo 22     AF/CDC-5*

染色型 Speckled (Coarse) 型。抗U1RNP抗体と同様
対応抗原 U1、U2、U4-U6 RNA結合タンパク質
B'/B (29kD/28kD)、D (16kD)、E (12kD)、F (11kD)、G (10kD) がエピトープとなる。
B'/BとDが主要エピトープであるが、E-F-G complexの優位なエピトープも報告されている。
確認法 DID法ELISA法、WB法、免疫沈降法、CLEIA法
臨床的意義 SLEの疾患標識抗体
SLE診断基準 (アメリカリウマチ協会 1997年改訂)、SLEの新分類基準項目 (SLICC 2012) に含まれている。
文献 17

抗U2RNP抗体・抗U1U2RNP抗体


photo 23

染色型 Speckled (Coarse) 型。抗U1RNP抗体と同様
対応抗原 U2RNA結合タンパク質
A' (32kD)、B" (28.5kD) がエピトープとなる。B"はU1RNPのAと共通性を持つためB"と反応する抗体は、U1RNPとU2RNPの両者と反応する抗U1U2RNP抗体となる。
確認法 免疫沈降法
臨床的意義 全身性強皮症-多発性筋炎重複症候群
文献 315、16

抗hnRNP抗体


photo 24

染色型 Speckled (Large) 型
核質の大きめの粒子が染色されるが、抗U1RNP抗体や抗Sm抗体と共存しSpeckled (Coarse) 型と混在する例が多い。分裂期クロマチンは染色されない。
対応抗原 hnRNA結合タンパク質-A/B、A1、A2、C、I
確認法 ELISA法、WB法
臨床的意義 MCTD患者で最初に報告されたが、SLE (A/B)、RA (A1、A2) でも出現する。
抗hnRNP-I 抗体 (SScに特異的で核全体が弱く染色される) および抗hnRNP-C抗体 (SSc患者で出現し核がSpeckled型に染色される) も報告されている。
文献 18、19、20、21

抗SS-A/Ro抗体


photo 25     AF/CDC-7*

染色型 Speckled (Fine) 型
アセトン固定された間期核では細かい顆粒状の染色を示すが、アルコール固定された核では染色されない。分裂期クロマチンは染色されない。
対応抗原 Y1-Y5RNA結合タンパク質 (52kD、60kD)
確認法 DID法ELISA法、WB法、免疫沈降法、CLEIA法
臨床的意義 SSに高率に出現する。SLE・SSc・RAなど他の膠原病でも出現する。1999年の厚生省特定疾患免疫疾患調査研究班によるSSの改訂診断基準の1項目に含まれる。
抗SS-A抗体陽性妊婦から生まれた新生児のループス症状や心ブロックとの関係が注目されている。
文献 22

抗SS-B/La抗体


photo 26     AF/CDC-2*

染色型 Speckled (Fine) 型
細かい顆粒が密集した染色。分裂期クロマチンは染色されない。
対応抗原 RNAポリメラーゼIII転写RNA結合タンパク質 (50kD、RNAポリメラーゼIIIの転写終結因子の機能を持つ)
確認法 DID法ELISA法、WB法、免疫沈降法、CLEIA法
臨床的意義 抗SS-A抗体と同様にSS・SLE・SSc・RAなどで出現する。1999年の厚生省特定疾患免疫疾患調査研究班による改訂診断基準の1項目に含まれる。
新生児ループスや心ブロックとの関係が注目されている。再発性環状紅斑で抗SS-B抗体が高率に陽性であることが報告されている。
文献 23

抗p80 coilin抗体


photo 27

染色型 Granular型あるいは Few nuclear dots型**
染色の特徴 0〜6個 (平均2個) の点状蛍光を示す。S期〜G2期には明るい大きな点状に見え、分裂期には認められない。
対応抗原 p80 coilin (80kD、核質のcoiled bodyを構成する)
確認法 WB法
臨床的意義 SSの一部、PBCの一部に認められる。
文献 24、25

抗Sp100抗体


photo 28

染色型 Granular型あるいは Multiple nuclear dots型**
染色の特徴 多数 (1〜24個) の点状蛍光
対応抗原 Sp100 タンパク質
PMLタンパク質、NDP53 (Sp100も含めてPML*** oncogenic domainに結合するタンパク質) に対する抗体によってもMultiple nuclear dotsに染色される。
確認法 WB法
臨床的意義 PBCの一部に認められる。
文献 26、27、28

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* Centers for Disease Controlのコントロール血清
** Few nuclear dots型とMultiple nuclear dots型で染色される点の数は重なっているため、区別が困難な場合がある。両者を含めてGranular型あるいは Nuclear dots型と呼ぶこともある。
*** PML:前骨髄球性白血病



SLE: 全身性エリテマトーデス, SSc: 全身性強皮症, MCTD: 混合性結合組織病, SS: シェーグレン症候群, 
PM/DM: 多発性筋炎/皮膚筋炎, RA: 関節リウマチ, PBC: 原発性胆汁性肝硬変, AIH: 自己免疫性肝炎