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間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

抗核抗体の染色像

細胞周期関連抗原を認識する自己抗体

細胞により核染色の有無または染色強度に著しい差を認める場合、細胞周期依存的に量や局在あるいは分子構造が変化する抗原に対する自己抗体による染色であると考えられます。染色様態から複数の自己抗体が存在すると推測されますが、その詳細は明らかでないものが多くあります。

抗PCNA抗体

PCNA: Proliferating Cell Nuclear Antigen



photo 35

染色型 主にS期の核が染色されるが、染色像は細胞周期の進展にともない変化するのが特徴である。G1期後半ではまばらな顆粒状、S期には核全体が密に、S期後半にはざらついた染色に変わり核小体が染色されなくなる。分裂期クロマチンは染色されない。
他の抗核抗体と共存する場合は判りにくいので、血清の希釈試験を行って特異的な染色像を確認する必要がある。
対応抗原 DNAポリメラーゼδ補助タンパク質 (34kD)
PCNA抗原はKi抗原などと高分子複合体を形成していることが報告されている。
確認法 DID法、WB法
臨床的意義 SLE
文献 36、37、38

抗Na抗体


photo 36

photo 37

染色型 主にG2期の核がSpeckled型に染色されるが、抗PCNA抗体のような染色像の多様性は認められない。分裂期クロマチンに抗セントロメア抗体様の顆粒状染色を認めるが、間期核ではセントロメアに相当する染色を認めない。さらに分裂終期の分裂溝 (Cleavage furrow) および分裂後の細胞間部分 (Midbody) が染色される。
対応抗原 ミオシン類似抗原
臨床的意義 報告例はSLE
文献 39、40

抗Na抗体と類似の染色を示す自己抗体として、肺癌などの胸部悪性腫瘍に出現しセントロメアタンパク質 (CENP-F 367kD) を認識する抗CENP-F (MAS-3) 抗体が報告されています。抗CENP-F (MAS-3) 抗体は一部の間期核がSpeckled型に染色されますが、分裂終期の分裂溝などの染色を認めません。【文献4473
抗Midbody (MAS-2) 抗体はSScに出現し、抗Na抗体に類似していますが間期細胞の染色はごく弱いか染まらないとされています。【文献43、44
抗MSA-3抗体は一部の間期核がSpeckled型に染色されますが、分裂終期の分裂溝などの染色を認めません。この抗体は呼吸器系の癌に関連して出現するとされています。【文献44
また肝癌に出現する抗DNAトポイソメラーゼ II抗体も報告されています。【文献30

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細胞周期関連その他

対応抗原や臨床的意義は明らかではありませんが、MBLで経験した細胞周期関連抗原によると思われる染色像のいくつかをphotoに示します。



photo 38
一部の細胞核が均質に染色される。分裂期クロマチンがより強く染まっている。

photo 39
一部の細胞核が弱く染色される。細胞質にも染色が認められる。


photo 40
一部の核小体が染色される。

photo 41
間期核は染色されず、分裂期クロマチンのみが強く染色される。


細胞増殖に関連する多くのタンパク質が見いだされており、細胞周期依存的な挙動を示す抗核抗体はそのいずれかを認識しているかもしれません。患者血清中に出現する自己抗体が自己抗原の構造や機能の解析のための有用なツールとなる可能性があります。【文献45


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SLE: 全身性エリテマトーデス, SSc: 全身性強皮症, MCTD: 混合性結合組織病, SS: シェーグレン症候群, 
PM/DM: 多発性筋炎/皮膚筋炎, RA: 関節リウマチ, PBC: 原発性胆汁性肝硬変, AIH: 自己免疫性肝炎